届け あの空に�� ページ34
「しかし、
それだけでは
あそこまで届かんだろう。
だから、お前の火力でブーストさせたい」
「?」
「石突きを思いっきり殴るんだ。
巨人の鎧の投擲力と、
お前の火力を合わせて月を壊す」
「おし!分かった!!」
「いくぞ」
それを聞いていたグレイとルーシィは、
小さく身体を震わせていた。
「２人とも、
何であんなにノリノリなんだよ…」
「まさか本当に、
月が壊れたりしないよね…」
『ナツとエルザなら出来るよ!!』
「そういえば、
Aはどの辺りで分かったんだ?」
『リオンの言葉を聞いてからかな?
アレがヒントになったみたい!!』
Aがそう言うと、
グレイは少し不機嫌になった。
「ナツ!!」
「おぉう!!」
ナツは炎を纏った右の拳で、
石突きを思い切り殴った。
「そらぁ!!」
「届けェェえええええっ!!」
エルザの叫びに応えるかの様に、
破邪の槍は勢い良く空へ上っていった。
そのまま一直線に月に向かう破邪の槍は、
強い光を放っていた。
ピキィ――
月にヒビが入る音がした。
『壊れた!!』
≪おおおおおっ!!≫
「「嘘だぁーっ!!」」
月にヒビが入ったのを見た村人達は歓喜し、
グレイとルーシィは驚いていた。
パキィィン――
ついに音を立てて破れた。
≪えっ!!?≫
「月!!?」
「これは…」
そこに現れたのは、
本来の色である黄金の月だった。
「割れたのは月じゃない…
空が割れた…?」
紫色の"それ"は欠片となって、
A達に降り注いだ。
「どういう事だ…?」
『この島は邪気の膜で覆われていたの』
「膜?」
『月の雫(ﾑｰﾝﾄﾞﾘｯﾌﾟ)によって
発生した排気ガスだと思ってくれたら、
理解しやすいかも。
それが結晶化して、
空に膜を張っていたんだよ』
「そっか!
それで月が紫に見えていたのね!!」
Aが説明を終えると、
村人達が光に包まれた。
「うわぁ…綺麗…」
「邪気の膜は破れ…
この島は本来の輝きを取り戻す」
「…」
「あ」
「…」
「あれ…」
しかし、
いつまで経っても
村人達は悪魔の身体のままだった。
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月24日 11時
