真実は悲しき氷の刃�� ページ14
「答えろリオン!!
共に死ぬか、生きるかだ!!!!」
「やれよ。お前には死ぬ勇気はない」
グレイの言葉を聞いたリオンは、
挑発的な笑みを浮かべていた。
『リオン!!』
「残念だ」
「ぬぅえあぁっ!!」
グレイから放たれる魔力によって
吹き飛ばされそうになりながらも、
ナツは力任せに立ち上がった。
「これで全て終わりだ!!」
『やめてーっ!!』
魔封石の手錠をつけられたままのAは、
涙を流して叫ぶ事しか出来なかった。
「アイスド――「ドアホォ!!」」
ナツはグレイの右頬を容赦なく殴った。
その拍子に、
グレイから放たれた凄まじい魔力が
グレイの身体に全て戻った事で、
魔法は発動しなかった。
「ナツ…」
「勝手に出てきて責任だ何だうるせぇんだよ。
人の獲物、取るんじゃねぇよ」
「え…獲物!?」
ナツの発言にグレイは目を丸くした。
「アイツはオレが倒すんだよ!!」
「なっ…!
オレにケジメつけさせてくれって、
言ったじゃねぇか!!」
「"はい、了解しました"ってオレが言ったかよ」
「てめ…」
「お?やんのか?」
ナツが挑発的な笑みを浮かべていると、
グレイはナツのマフラーを掴んだ。
「あいつとの決着は、
オレがつけなきゃならねぇんだよ!!
死ぬ覚悟だって出来てんだ!!!!」
それを聞いた瞬間、
ナツは自身のマフラーを掴む
グレイの腕を掴んだ。
「死ぬことが決着かよ、あ?
逃げてんじゃねぇぞ、コラ」
「!!」
「ムカつくくらいオレより
Aの事を理解してるのに、
今のお前にはAが見えてねぇのかよ」
ナツの言葉にグレイは呆然としていた。
「Aを置いて死んでみやがれ。
オレが死んでも許さねぇぞ!!!!」
『ナツ…もう良いよ…』
「A」
『ありがとう』
「おう」
グレイを掴んでいた腕を離すと、
フン、と鼻を鳴らしてAの側へ向かった。
「A、コレ…邪魔だったよな」
ナツはそう言って、
Aの手首につけられた
魔封石の手錠を破壊した。
「外すの遅くなって悪ィ」
『ううん。ナツ、ありがとう』
「…」
グレイはAを見つめると、
複雑な感情を押し殺した。
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月24日 11時
