真実は悲しき氷の刃�� ページ12
ガルナ島 月の神殿――
Aとリオンを
探し回っているグレイは、
巨大な氷の壁に覆われた一室を見つけた。
「この氷は…リオンか。
それに、Aとナツの魔力もするな…」
走って乱れた息を整えながら
グレイは目を閉じていると、
突然見覚えのある人物が脳裏に浮かんだ。
『グレイ』
昔と変わらない屈託な笑顔を向けて
自身の名を呼ぶAの姿だった。
「(Aが側にいてくれたから、
今まで辛い事を沢山乗り越えられたんだ。
これからもAが
笑ってられる様に…オレは…)」
グレイは何かを決断して目を開けた。
その目は覚悟に満ちていたが、
悲しみに揺れていた。
「チィッ」
「ぬおぉっ!!」
ナツとリオンはあれから対峙していた。
ピキィ、パキッ――
すると突然、
小さい音とともに氷の壁にヒビが入った。
「!!」
「何だ!?」
『この魔力…』
パキィィィン――
氷の割れる音が大きく響き、
そこからグレイが姿を現した。
『グレイ!!』
「A…無事で良かった」
グレイはAが無事だと分かって安堵したが、
すぐにナツの方に視線を向けた。
「ナツ…コイツとのケジメは、
オレにつけさせてくれ」
「テメェ!1回負けてんじゃねぇか!!」
「次はねぇからよ。これで決着だ」
グレイの気迫にナツは黙り込んだ。
けれど、ナツは不満げな表情をしていた。
「大した自信だな」
リオンは表情を変えずにそう呟いた。
一瞬グレイはAの方を見ると、
再びリオンへ視線を戻した。
『(グレイ…?)』
「10年前…ウルが"死んだ"のはオレのせいだ。
だが、仲間を傷付け…村を傷付け、
あの氷を溶かそうとするお前だけは許さねぇ」
グレイはそう言うと、
身体の前で両腕を交差させた。
「共に"罰"を受けるんだ、リオン」
それを見たAとリオンは、
目を見開いて焦った様に言った。
「そ…その構えはっ!!?」
『グレイ!何考えてるの!!?』
「?」
何も知らないナツは首を傾けていた。
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月24日 11時
