妖精の尻尾の姫_3章【FAIRYTAIL】 (ページ10)

今日:83 hit、昨日:95 hit、合計:29,891 hit

ガルナ島へ② ページ10

『おじいちゃん、
　私に出来る事は?』

「A…すまないが、
　今からガルナ島へ向かい
　ナツとハッピーとルーシィを
　連れ戻して来てくれないかのぉ…

　あの馬鹿ども、
　S級クエストに勝手に行きおったのだ」

『分かった。
　ナツとハッピーとルーシィは、
　私が責任を持って連れ戻して来るね』

「待てよ」

Aがマカロフの言葉に頷いた時、
隣にいたグレイが声を上げた。

「オレも行く」

『グレイ…』

Aはグレイの頼もしい横顔を見て微笑んだ。

「むっ…今回は仕方あるまい。
　A、グレイ頼んだぞ」

「あぁ」

『すぐに連れて帰るね!!』

Aとグレイはすぐにギルドを出ると、
一度家に帰って島へ向かうための
支度を簡単に済ませた。

港町ハルジオン――
穏やかな海風がAの頬を撫でた。

『でも、
　何で突然S級クエストを
　受けようと思ったのかなぁ…?』

「それは…アレだろ。
　昨日のラクサスの言葉に影響されたんだろ?
　S級魔導士じゃねぇオレ達は、
　何か仲間外れみてーな感じだったしな」

少し不機嫌そうな表情をして
そう言ったグレイに、
Aは優しく笑いかけた。

『そんな事ないよ!
　S級魔導士になっても怖いものは怖いし、
　振り返りたくない過去だってある…
　グレイ達と何も変わらないよ』

「おう…」

悲しそうな表情をしてそう言ったAに、
グレイは複雑な気持ちを抱いた。

Aの言う"怖いもの"と
"振り返りたくない過去"は、
きっと"あの事"だろう――

『あっ、グレイ!あそこ!!』

Aが何かを見つけて先の方を指差した。
そこには、ナツとハッピーとルーシィがいた。

「少し脅かしてやるか!!」

『賛成!!』

Aとグレイはそう言うと、
顔を見合わせて子供の様に無邪気に笑った。

「はぁ…どうしよぉ…」

「だから泳ぐっての」

ハルジオンに来たのは良いものの、
ガルナ島へ向かう船が一向に見つからず
ルーシィは深い溜息を吐いており、
ナツは泳いで海を渡ろうと
準備運動を始めていた。

｢『みーつけた』｣

突然声をかけられたと思っていると、
ナツの肩にグレイが手を置き、
ルーシィをAが後ろから抱き締めていた。

「グレイ!!?」

「Aも何でここに!!?」

「連れ戻して来いっていうじーさんの命令だよ」

『ふふっ…
　ナツ達にS級クエストは、
　ちょーっと早いと思うよ?』

ナツ達に向かってそう言った
Aの目が突然鋭くなり、
ナツ達は恐怖で怯えていた。