妖精の尻尾の姫_1章【FAIRYTAIL】 (ページ26)

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火竜と猿と牛⑦ ページ26

『接収(ﾃｲｸｵｰﾊﾞｰ)される前に、
　相当激しく戦ったみたいだね』

「傷が酷い…」

「マカオ!!しっかりしろよ!!!」

「バルカンは
　人間を接収(ﾃｲｸｵｰﾊﾞｰ)する事で、
　生きつなぐ魔物だったのか…」

「脇腹の傷が深すぎる…
　持ってきた応急セットじゃ、
　どうにもならないわ。
　(ていうか…これは助からな――)『大丈夫!!』」

「A?」

『マカオは大丈夫だよ!』

ルーシィはAの笑顔につられて顔が綻んだ。

「(不思議…Aが大丈夫って言うと、
　本当に大丈夫な気がする…)」

Aがマカオの脇腹に両手を向けた瞬間、
氷によって傷が塞がれたのだった。

「氷で止血した!!?」

『私の魔法は術者の創造力次第で、
　何にでも形を変えられるんだよ!!』

「へぇ…やっぱりAって凄い!!」

「へへっ、そうだろ!!」

「何でアンタが自慢気なのよ…」

「ナツ… A…ハッピー…」

「マカオが起きた!!」

するとマカオの目が、
うっすらと開いた。

「大丈夫か!?マカオ!!」

「くそ…な…情けねぇ…
　19匹は…倒し…たんだ」

「(嘘!?
　あのサル…1匹じゃなかったの!!?
　そんな仕事を1人で…)」

「20匹目に…接収(ﾃｲｸｵｰﾊﾞｰ)…され…ぐはっ」

「分かったからもう喋んなっ!!
　Aが塞いだ傷口が開くだろ!!!」

「ムカつくぜ…ちくしょォ…
　これじゃ…ロメオに会わす顔がねぇ…」

「(凄いなぁ、やっぱり…
　かなわないなぁ…)」

ルーシィが妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)の
魔導士の凄さを改めて実感していると、
Aがマカオに向かって言った。

『じゃあ…会わないの?』

「えっ?」

その発言にマカオが困惑する中、
Aは真剣な表情で見つめていた。

『ロメオくんは、
　ずっとマカオの事を待ってるんだよ?

　接収(ﾃｲｸｵｰﾊﾞｰ)されてたけど、
　マカオはちゃんと元に戻れたんだから
　胸張ってロメオくんに会いに行かなきゃ!!』

「でもよォ…」

『それにバルカンを
　19匹倒せるお父さんって、
　私はカッコ良いと思うよ!!』

そう言って笑ったAを見て、
マカオは安心した様に笑い返したのだった。