妖精の尻尾の姫_1章【FAIRYTAIL】 (ページ16)

今日:154 hit、昨日:286 hit、合計:92,250 hit

ハコベ山へ① ページ16

馬車の中――

「でね!!
　あたし、今度ミラさんの家に
　遊びに行く事になったのー♡」

「ルーシィ、下着とか盗んじゃ駄目だよ」
　
「盗むかっ!!」

「「てか、何でルーシィがいるんだ?」」

『あはは…』

ここはマカオの助けへ向かう
ナツとハッピーとAが乗る馬車の中だが、
何故かルーシィも乗っていた。

「何よ。何か文句でもあるの?」

「そりゃあ、もう色々と…あい」

ルーシィはさりげなく(というかガッツリ)
否定したハッピーを無視して話を続けた。

「だって、せっかくだから
　あたしも妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)の
　役に立つ事したいな～って思って♡」

「(株を上げたいんだ!絶対そうだ!!)」

「それにしてもアンタ、
　本当に乗り物駄目なのね。
　何か色々と可哀想…」

「は?」

そう言ったルーシィは、
AとAの膝の上で
苦しんでいるナツに目線を向けた。

「てか、あたしが聞きたいのは
　何でナツが
　Aの膝の上で寝てるかって事よ!
　羨まし過ぎる!!」

「あい!
　Aの膝枕はナツとオイラの特等席なんだ!!
　(本当はナツがAに頼んでるだけだけど…)」

「良いなぁ…」

「ルーシィ、
　Aが好きなのは分かるけど
　何か気持ち悪いよ」

「気持ち悪いって何よ!!?」

ガタンッ――
ルーシィとハッピーが
そんな話を繰り広げていると、
突然馬車が音を立てて止まった。

「止まった!!」

「着いたの?」

「それにしては早いね」

『多分、着いたんじゃなくて…』

「す、すんません…
　これ以上は馬車じゃ進めませんわ」

A達が馬車から降りると、
そこは猛吹雪のハコベ山だった。

「な、何よコレ!?」

『やっぱり、この猛吹雪の中じゃ無理だよね…』

「山とはいえ今は夏期でしょ!?
　こんな猛吹雪おかしいわ!!
　ていうか、寒ーっ!!!!」

ルーシィは声を上げたが、
寒さで自身の肩を抱いていた。

「そんな薄着してっからだよ。
　Aを見てみろ!!」

「え?」

『見てみて、ルーシィ。雪うさぎ!!』

Aのほうを見ると、
猛吹雪の中で平気な顔をして
雪でうさぎを作っていた。
そして、Aは作った雪うさぎを
笑顔でルーシィに見せに来た。