帰って来ない仲間�� ページ14
「ど、どうしたの…
２人とも急に…」
「ナツはロメオくんと同じだから、
自分とだぶっちゃったのかもね…」
「えっ?」
ルーシィにそう言ったミラは、
少し寂しげな表情をしていた。
「ナツのお父さんも出て行ったっきり、
まだ帰ってこないのよ。
お父さん…って言っても、
育ての親なんだけどね」
ミラはAの食べ終わった
皿を回収しながらそう言うと、
ルーシィに笑いかけた。
「しかもドラゴン!!」
「ド、ドラゴン!?
ナツってドラゴンに育てられたの!!?
そんなの信じられる訳…」
「そうよね。
小さい頃にそのドラゴンに森で拾われて…
言葉や文化、魔法なんかを
教えて貰ったんだって。
でもある日…ナツの前から、
そのドラゴンは姿を消した」
「そっか…それがイグニール…」
「ナツはね、
いつかイグニールに
会える日を楽しみにしてるの。
そういう所が可愛いのよねぇ」
「あははは!!」
ミラがカウンターの上に飲み物を置いた。
ルーシィに、という意味らしい。
「私達は…」
ルーシィはその時少し戸惑った。
ミラが泣いている様な、
悲しんでいる様な表情をしていたからだ。
「妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)の魔導士達は、
みんな…何かを抱えてる。
傷や…痛みや…苦しみや…私も…」
「えっ?」
「ううん!何でもない」
ミラはそう言って笑っていたが、
ルーシィは笑う気分になれず俯いていた。
「それにAはとっても優しいの。
ナツがああいう時に必ず傍にいてくれるのよ。
もちろん、
ナツだけじゃなくて
他のギルドのメンバーにも…」
「けどAは…
人前で弱ってるトコを、
なかなか見せねぇからな」
「本当に優しくて良い子だけど、
とっても強がりなのよねぇ」
そう言って無理に笑うミラに
ルーシィは何と声を掛けて良いのか分からず、
ただただミラを見つめていた。
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月11日 19時
