1097話 ページ47
✩
｢明日に向けて、今日はゆっくり休んでおくれ｣
ついに明日が本番
全然練習期間は無かったけど、それなりに頑張った
後は練習通りにやれば良いだけ
｢A、途中まで送るよ｣
｢え？あぁ、ありがとう！｣
私は凛月と一緒に寮へ向かって歩いた
｢最近ごめんね。私がむすっとしてるのって、凛月とあんまり会えてないからなのかなぁ…｣
｢ふふん、俺の重要性に気づいてくれた？｣
｢気付かされました〜｣
｢あはは、拝まないでよ…♪｣
やっぱり凛月は夜型だもんね
最近は頑張って昼夜逆転を直してたみたいだけど、日が落ちる方が元気そう
…
｢…｣
｢…ふふっ、甘えん坊さんだねぇ｣
｢ちょっとだけで良いから。お願い｣
｢俺は寮に着くまでこれでも全然良いんだけど｣
｢それは私が恥ずかしい！｣
無言で手を繋ぐと、凛月は嬉しそうに握り返してくれた
やっぱり凛月といると安心する
寮生活を始めなかったら、今もこうやって凛月と家まで帰れたのかな
この時間がないだけで、私はこんなにも弱くなっちゃうんだ
｢…凛月〜｣
｢なぁに？｣
｢名前呼んでみただけ｣
｢ぷっ、何それ…♪｣
｢えへへ…♪｣
もうじき寮に着くのに、まだ手を離したくなかった
あとほんの少しじゃ足りない
どうしようもなく寂しかった
｢明日、頑張ろうね｣
｢あ…うん！｣
｢もしかして今完全に忘れてた？｣
｢ま、まさかそんな！そんな…ね…？｣
｢そこまで俺のこと考えてくれてたんだ〜。Aはほんと可愛いねぇ…♪｣
凛月に抱きつかれて頭をよしよしされたけど、いつもみたいに抵抗できなかった
私も、ちゃんと幸せだったんだなぁ…
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2021年3月15日 6時
