1088話 ページ38
✩
｢Aさん、少し俺と買い出しに行きませんか｣
｢それなら俺もついて行くぞお…♪｣
｢あぁっ、お待ちください！あ、あの…二人を同時に教えるのは大変なので…｣
もしかして、妖精さん…
三毛縞斑さんを私から引き離そうとしてくれてる？
｢…それでは行きましょうか｣
｢は、はい！｣
私は部屋を出る前に、妖精さんにこっそり頭を下げた
気づいてくれてて、しかも助けてくれるなんて…！
私はつい笑顔になってしまった
｢それで、あの方が口にしていた王女さまとは？｣
｢うっ…あれはその、あだ名で…？｣
｢後で助けてくれたマヨイさんにも、そう報告しておきますね…♪｣
｢…ご、ごめんなさい｣
でも、ここで話すと誰かに聞かれそうで怖いし…
もしかしたらこの人も、一彩さんの味方で内通者ってことも考えられる
｢ここまで教えてくれないとは…少し心が痛いですな｣
｢え！？ご、ごめんなさい！でも、言えなくて…｣
｢つまり、あなたは本当にどこかの王女さま…という訳ですな｣
｢…｣
私はこの優しそうな雰囲気に負けて、つい答えてしまった
｢正確に言うと、逃げた女王さまの継承者…です｣
｢…！｣
す、凄いなこの人…もう察しがついてるんだ
この様子だと、きっと一彩さんはひいばあちゃんの話をALKALOIDの皆にも既にしてるっぽいね
風早巽さんは、それはもう凄く驚いていた
｢まさか…｣
｢ぜ、絶対に一彩さんには言わないでくださいね！力で勝てるなんて思ってませんから…｣
そう言って、私は手をぎゅっと握りしめた
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2021年3月15日 6時
