1062話 ページ12
✩
｢はぁ…｣
私が一緒にライブしようって言ったのに…
一応、年だけを見たら私のほうが先輩なのに
ぐるぐる頭を悩ませてると、真白さんの声が聞こえた
｢Aさん！｣
｢…うぅ、ごめんなさい｣
｢良いんですよ。それにしても、Aさんがそんなに嫌がるなんて珍しいですね｣
｢…そう、ですかね｣
最初は普通に引き受けようとしてた
でも依頼主がこの前楽屋の前で待ち伏せしてきた変な人で、どうしても嫌な感じがした
それに、もう一つ理由がある
どっちかっていうとこっちのほうが重要
｢や…なんです…｣ﾎﾞｿｯ
｢え？｣
｢水着、着るの嫌なんです…！｣
｢そ、そうだったんですね…｣
だって、あんなの下着と一緒やんか！！
肌が焼けるのを気にしてたのもあるけど、私は人前で肌を見せるのが大の苦手
ほんとにこれだけは嫌…
｢やだああぁ…絶対にやだやだ…｣
｢う〜ん…最近はワンピースとか、露出が少ないのもあるって聞きましたよ｣
｢その依頼、ビキニじゃないとダメなんです…｣
｢そ、それは…困りましたね｣
…はっ
真白さんが困ってる
｢ご、ごめんなさい…駄々こねて子供みたいですよね｣
｢いえいえ。俺もその気持ちよく分かりますよ…♪｣
｢確かに去年とか、よく色んな衣装を着た真白さんを見てた気が…｣
｢忘れてください！！｣
そ、そうだよね
私がわがまま言ってちゃダメだよね…
でも、あの人の依頼を受けるのって怖いなぁ
妙に報酬が高すぎるのも違和感がある
…だけど、これもRa*bitsの人達のため
｢私、覚悟を決めました…！｣
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2021年3月15日 6時
