357話 ページ7
✩
｢ま〜くんごめん…ありがとう…｣
｢疲れてるんだよな。分かるぞその気持ち｣
はぁ…私はアホだ…
保健室に行くと、先生が酔っ払っていた
真っ昼間から何してんのこの人…
｢誰かと思ったらお前らかよ〜。相変わらず仲良いなぁ〜♪｣
｢酒臭っ…椚先生に怒られますよ｣
｢大丈夫だって。あきやんはあぁ見えて優しいから｣
｢…？｣
私と目が合うと、先生は私にふらふらな足取りで近寄ってきた
｢ちょっ…セクハラだけは気をつけてくださいよ？｣
｢師匠〜。俺のダンスにもう文句はつけらんねぇだろ〜｣
｢駄目だこの人、完全に酔っ払ってる…悪いけどA、ちょっと水持ってきてくれ。…A？｣
｢…え？あ…うん｣
｢…俺が持ってくるから、Aは佐賀美先生を見ておいてくれ｣
｢う、うん。分かった｣
師匠って…ひいばあちゃんのことかな
先生は酔っ払てるからなのか、昔話を必要以上にしてきた
正直、もうお腹いっぱいなんだけどな…
｢やっぱ師匠ほど偉大な存在はいないっすね〜。俺だって足元にも及ばねぇっつうかさ｣
｢は、はい…｣
｢俺も師匠みたいに家庭をもってたら、今より少しは満足な人生だったのかなぁ…｣
｢…｣
そんなに偉大な人だったんだなぁ
私もそのDNA、少しぐらいは持ってるんだよね？
｢なぁ、教えてくれよ師匠。俺はどこで人生を間違えたんだ？｣
｢…私も、分からないです｣
｢すぅ…すぅ…｣
先生は、本当に人生を間違えたのかな
…私がその間違えたのかなって思う人生を、間違えてないよって言ってあげられるような
そんな人にはいつか、なれないかなぁ
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2021年1月27日 18時
