10話 ページ10
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これは少し前の話
小さな普通の家に生まれた女の子は、ようやく言葉を話せるようになった
「まま、ど〜したん?」
「…え?」
「なんでないとんの?」
「…っ!?」
私が涙を浮かべたお母さんを心配していると、お母さんは悪魔でも見たみたいに顔を真っ青にしていた
お母さんは私の小さな肩を力強く掴んだ
それが、当時の私にどれだけ怖かったことか
「A!あなた…どこでそんな方言覚えたの!?」
「だ、だって…ままが、言っとったやん…」
「…!?」
「ま、まま…?」
「…い」
「え?なんて…」
「今すぐ忘れなさい!!!」
「…っ!?」
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あれから数年とちょっと経ったけど、未だにあれよりお母さんを怖いと思ったことがない
だから私は、人前であの話し方をするのはいけない事なんだと思った
確かにみんな、誰もこんな話し方をしてないし
…でも
ひいばあちゃんとお母さんは、確かに訛ってたはずなんだけどなぁ…
「…っ」
それは私にはまるで、喋るなって言われてるぐらい辛いことだった
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作者名:赤月 音 | 作成日時:2020年3月15日 0時