28話 ページ28
✩
｢お、お母さん！できたよ！｣
｢本当に？…あら、よく出来てるじゃない。よく頑張ったわね｣
｢えへへ…♪｣
｢それじゃあ、次はもう一つ上の勉強を予習しようね｣
｢…へ？｣
｢4年生にもなると、結構難しいけど…でも、Aは賢いからいけるでしょ？｣
｢あ、えと…｣
わ、私まだ幼稚園の年少組…
お母さんはにこにこしてるけど、私は怖かった
私がやればやるほど、お母さんは喜んでくれる
それはとっても嬉しいこと
でも…
その度に、私はもっと難しい勉強を強いられる
｢明日本屋さんに行って、ドリルを買いに行きましょうか。ふふっ、Aは自慢の娘だわ…♪｣
｢あ、お母さ…｣
｢さあ、明日のためにいっぱい寝ましょうね。お休みなさい｣
｢…｣
2年生までは何とか自力で解けた
3年生で、私はかなり苦戦した
そして、その先の想像は安易にできた
｢なんか…大変そうな母ちゃんだな｣
｢お、お母さんは…わたしのために、してるだけだもん。そう言ってた｣
｢じこまんぞくって言葉、Aなら知ってるだろ？｣
｢…うん｣
｢おれはそれだと思うけどな｣
｢ち、ちがうよ！だって、お母さんはおどろいてた｣
｢…？｣
お母さんも、なんで解けるの？って顔してた
まだ1年生でも無いのに、誰にも教わって無いはずなのにどうして？って目がいってた
｢お母さんはきっと、わたしにひまな時間を作らせたくないんだと思う…｣
お母さんはただ、私にもっと成長してほしいだけなんだよね
期待には、ちゃんと応えないと…
期待に押し潰されてるようじゃ、この世の中は生きていけないから
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2020年3月15日 0時
