斎宮くんのこと ページ8
｢ロープ一本でビルから学校に飛び移るとか正気じゃないんだけど。てかビルで何してたの｣
｢なんか外の空気味わいたくて…ひえっ！｣
｢この大馬鹿！｣
おお…！
瀬名くんはお嬢様の頬に触れると、今にもキスしそうな距離で…
｢…へ｣
｢その綺麗な顔に傷がついてたらもったいないとか思わない訳？親御さんに申し訳ないとか思わないのあんたは！｣
｢おおお思ってる！思ってます！ねぇ！やっぱり殴らない泉くんは泉くんじゃなくてなんかきもいよ！？｣
｢あんたの希望でしょうが…！｣
｢い、いや、まさか本当にもう殴らないとは思わなくって…｣
あの告白の時か
確かに、言われてみれば暴力を振るわなくなったな
何だかんだ良い子だなぁ、瀬名くん
｢朔間なんかと比べられたくないだけ！｣
｢ご、ごめんってば〜！なぁに、やっぱり私のこと好きなの？｣
｢次言ったら殺すからね｣
｢ごめんなさい｣
図星だからあぁ言ってるだけだろう
傍から見たら分かりやすいな…♪
｢(高校生の青春か…青くて良いな…♪)｣
｢またこんな暗がりで二人で密会かね｣
｢男女の友情にしては、距離が近すぎるぞ貴様ら｣
斎宮くんと、あれは蓮巳くんか
｢あっそう。周りが何言ってても関係ないから｣
｢うっ…！？｣
｢せっかく一週間も泊まり込みなのだから、この絶好の機会を逃す手はないのだよ…♪｣
｢あっ！また貴様ら、言ったそばからひっついて！｣
それは…仕方ない
お嬢様、斎宮くんのことかなり苦手だからな
｢私この人と若かりし頃に会ってたら危険だった自信ある…今で本当によかった…｣
｢僕はむしろその逆だねッ！昔とやらの人形そのものだった君に会いたかったよ！あぁ、なんと愛らしい…♪｣
｢や〜…泉く〜ん…！｣
｢はいはい。いつものね｣
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
