神さまの気まぐれ陸【あんスタ】 (ページ25)

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神という偶然の存在にページ25

気づいていたんだ

最初から知っていた

お嬢様が自分を見つめる視線は、いつも冷たかった

｢(自分があんなことをしてしまったから…いや、その前からだ)｣

出会った時から何一つ変わっていない

そうだったはずなんだ

俺の不必要なものと同時に、今までかけていた色眼鏡も綺麗に消えてしまった

｢(知りたくなかった…お嬢様が、日に日に普通の凡人になっていってしまう姿が、どうしても見ていられなかった)｣

確かに価値のある存在だったのに

それなのに、世間体を気にするだけの理由で、いち一般人に成り下がっていくお嬢様

ボスとお母様のエゴだけの理由で、価値を失っていくお嬢様

あの方は、いつも苦しんでいた

どうして自分は普通じゃないんだろう

｢(俺には分からない。何故、あんな平和な国でお嬢様を育ててしまったのか。理解できない)｣

｢(娘の平穏を願って、本人を追い詰めているのはお前ら両親だろ)｣

どうして誰もそう言わない？

そのせいで、お嬢様はずっと生まれてこなければよかったと

いつもいつも、涙を流していたのに

環境があまりにも自分の感情に不似合いで、困っていたのに

｢(何故だ。どうして、そんな事をした)｣

分からない

俺が家族を持っていないから、理解できないのか？

両親の顔も知らない俺だから理解できないだけで、他の親や普通の家庭で育った子には分かるのか？

｢(才能を発揮する者もいれば、捨てる者もいるという事なのか？そうなのか、神？)｣

｢(それを俺に伝えようとしていたのか？)｣

分からないまま、ひたすら歩き続けていたら

俺はついに出会った

神という偶像の存在に

そこで俺は直感で理解した

神と話すきっかけを与えてくださったのは、間違いなくお嬢様だと言うことに