死んでも良い ページ24
｢わ、私だよ…入っちゃだめ？｣
｢…ドアを開けろ｣
ボスをここまで従わせる事ができるのは、お嬢様とお母様ぐらいだろうな…
｢っ！？た、タマくん…！｣
｢触らないで下さい！！｣
｢…っ！？｣
｢血にはばい菌が沢山ついていますので、素手で触れたら危険です｣
嫌だ
知りたくなかったんだ
だから俺は黙って、一人でここまで来たのに…
｢…｣
｢お、お嬢様、大丈夫ですか｣
｢っ…ま、待ってね。今ハンカチ出すから…｣
｢俺は入るのを許可しただけで、そいつを助けるなとは言ってねぇぞ｣
｢うっ…｣
以前のお嬢様なら、こんな傷を見たところで何とも思わなかったはずだ
それなのに今はどうだ？
｢この数ヶ月で、てめえらは随分と腑抜けちまったな｣
｢…っ｣
｢(お、お嬢様に何する気だ…！？)｣
｢成長したじゃねぇか…♪｣
は…？
一瞬、理解が追いつかなかった
いや…しばらく経っても理解できない
｢うっ…ひっく…うん、嬉しい…♪｣
｢｢…｣｣
｢今からこいつを去勢する。どうだ、大事な人が目の前で切られるのは悲しいだろう？｣
｢うん、すっごく悲しい。お父さんありがとう…♪｣
｢(ああ…そうか…)｣
俺は、最初からただの道具だったんだ
この方に心の痛みを感じてもらう為の、ただそれだけの道具にすぎなかったのか
｢い、いくら何でもそれはおかしいですよ！！お嬢様も！普通そこは止めるべきでしょう！？｣
｢…｣
｢何言ってんだ。てめえが俺に報告したんじゃねぇか、娘に緊急事態以外で指一本触るなって命令を破ったのはこいつだろうが｣
｢そっ、それは…そうですけど…｣
やっぱり、この方は素晴らしい
最高にイカれていて、クレイジーで、頭のネジが飛んでる
やっぱり…お嬢様はこうでなくちゃ…！！
｢(この方の為なら、死んでも良い！！！)｣
｢おっ、おい！！やめろ！！！｣
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
