知りたくなかった ページ23
｢報告は以上です｣
直接本人に会って、自分は考えたくもなかった
最悪な事実に今直面してしまっている
｢長く日本に滞在したせいで、てめえも平和ボケした面しやがって。そんなんで俺の娘をちゃんと護衛できてんのか｣
｢はい。抜かりはありません｣
｢…変わっちまったな。てめえもAも｣
｢っ…！？｣
嫌だ
知りたくなかった
俺が、平和ボケしているだと？
｢…ありがとう、ございます｣
｢ああ？急に感謝なんかするんじゃねえ｣
｢やっぱり、この国に戻ってきて、自分が甘かったことを…再確認できました｣
｢…｣
｢それでは、失礼します｣
このままでは駄目だ
お嬢様にもしもの事があってからでは…
｢っ…！？｣
｢まさか、そのまま日本に戻るなんて言わねぇだろうな｣
｢え、ええ…もちろんです…｣
出血が止まらない…
｢二つ、てめえに教えといてやる｣
｢っ…｣
｢一つは、あいつが平和ボケしているから仕方ない。てめえがそこまで腑抜けてしまったことは当然のことだ｣
｢(嫌だ…俺の中のお嬢様は、いつも冷酷で…)｣
｢もう一つは、てめえみたいな男にあいつは惚れねえ｣
ボスは、既に分かっていた
俺とお嬢様の間に何があったのかも、いや、知っていたのかもしれない
俺はあの男…相方に、打ち明けていた
｢(何だよ…ちゃんと仕事してんじゃねぇかよ…)｣
｢っ…！！！｣
｢今ここで切れ。それで許してやる｣
｢…はっ…はぁ…｣
死ぬかもしれない
頭に、自分が死んでいる光景が浮かんでしまった
｢(お嬢様の為だ…お嬢様のそばにこれからも、いる為に…！)｣
｢…今取り込み中だ。帰れ｣
｢取り込み中だから帰って言ってますよ｣
｢なっ…！？｣
こ、この声…なんで、あいつが…？
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
