声を出しても ページ18
｢頭冷えた〜？タマくん｣
｢…｣
｢あ、謝らないでよ〜？私のほうこそごめんね…｣
休暇ひとつでお嬢様にここまで迷惑をかけてしまうなんて、俺はどれだけ罪深い人間なんだ…！
土下座しようとすると本気で止められてしまった
｢だ、だから！良いって！だいじょ〜ぶだから！｣
｢にしてもお前、災難だったな…一人で走ってた子供を捕まえただけで、あそこまで怒鳴られたんだろ？｣
｢…｣
｢日本語も分かんないのにね〜♪｣
もちろん偽造品だが、きちんとした免許証やパスポートも見せて、ヤクザの疑惑を晴らした後
自分もスタッフの一員として動いたことで自体は終息した
そういうことで、お嬢様と共に行動することになった
｢ごめんね〜…私のせいで…｣
｢…｣
少し、迷った
｢よし！私、ちょっとでもタマくんが休めるように何か良いこと考えるよ〜♪｣
｢っ…｣
｢楽しいこと探しは私に任せて〜♪｣
今なら、もう一度…
声を出しても良いんじゃないか？
｢…。おじょ…｣
｢あー！A先輩だー！！｣
｢な、なんかイカついガードマンがいる…！？や、ヤクザ…？｣
｢しー！聞こえちゃうよ衣更くん！｣
｢明星、大人しくしろ。こんな人混みで暴れたら迷惑だ｣
…これも、神の力なのか？
自分にはまだ、お嬢様と話す権利は無いという…
そういう事なのか？
｢なぁに〜！？皆もうそんな可愛い顔しちゃって〜！相変わらず緊張感なさそうで何よりだよ〜♪｣
｢A先輩の方が一億倍可愛いですよ！｣
｢あんずちゃんは五千億倍ぐらい可愛いよ〜♪｣
｢な、何があったんだ…仲良すぎて逆に怖いぞ…！？｣
俺にはまだ、この人を…
｢タマくん！｣
｢…！｣
｢人多いから、今だけはぐれないようにね〜♪｣
お嬢様の小さな手はとても暖かくて、柔らかい女の子らしい…
俺の心を氷漬けにさせるには十分だった
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
