追い出されてしまった ページ16
追い出されてしまった…
流石に大量のスタッフがいるのにそばにいては、お嬢様の邪魔になってしまわれる
しかし、盗聴器も外されてしまっては…どうしたものか
｢あ、あの…｣
｢…？はい、何でしょう｣
｢この席に行きたいんですけど、分かりますか…？｣
自分は係の人じゃないんだがな…
一応案内してやると、その人は丁寧に頭を下げてきた
｢ありがとうございます！助かりました！｣
｢(…平和だな、日本は)｣
お嬢様がお怒りになられるのも頷ける
あの方は恐らく、この平和に怒りを感じたのだろう
見えている問題に背を向ける、彼らの逃避行動に心底失望されたのだ
それこそが、生まれながらにして上に立つ者の思考なのだろう
｢(お嬢様は偉大だ。人に情けをかけない為に、最も懸命な判断ができる方だ)｣
ボスにもっと見せたい
この偉大なるお方の、日々成長していく姿を
｢楽しみだね〜たっくん♪｣
｢うん！｣
｢…｣
ボスもきっと、あんな風にしたかったはずだ
｢こら！待ちなさい！｣
｢きゃー！｣
｢待って！はぐれるわよ！｣
｢…｣
馬鹿か…この親は
自分が小さい子供を捕まえると、何故か逆ギレしてきた
礼も言えないのかこの毒親め…
｢うちの子に触らないでくれる！？｣
｢…｣
｢ちょっと！謝りなさいよ！慰謝料請求するわよ！？｣
こんな国を、あの方が変えてくだされば
いや…今更願ったところでか
｢(お嬢様は決心なされたのだ。この腐った国を救うことよりも、自身の幸福について追求することを)｣
｢誰か！そいつを捕まえて！！｣
｢(もしお嬢様がこの国を救ったとして、何になる？)｣
こいつらは感謝するのか？
本当に、その頭でお嬢様の偉業を理解できたと思うか？
いいや、そんなことは無い
｢(どれだけ人を救おうと、あの女のように救われたことにすら気づけない奴の為に時間を浪費するのは…)｣
あまりにも、時間の無駄だ
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
