一番目が喋ってるから ページ12
あの様子を見る限り、彼では無さそうだな
なら一体誰なんだ…？
その恋をした相手とやらは…
｢なぁに、その変なマスク。消えたと思ったら…｣
｢え？も、もしかして、私が襲われてたと思ってたの？｣
｢…あんたがそう言ってたんでしょ｣
｢ツンデレすぎてっ…私泉くんのこと守るから！！｣
モヤモヤが晴れないまま、また勉強会の続きになってしまった
勉強って、普通の勉強をしているのか…？
｢＿＿…♪｣
｢(ん…？)｣
口は動いてるのに、盗聴器が声を拾ってないな…
｢あんたさ、前から思ってたけど｣
｢ん〜？｣
｢…はぁ。負けた感じがしてむかつくから良いや｣
｢な、何が？なんのこと〜？｣
｢大人びてるってこと｣
瀬名くんは恐らく、薄々感づいてるんだろう
お嬢様に彼氏がいることを
これだけ一緒にいれば、それこそ、言葉を交わさずとも伝わるものがあるんだろうな
｢隠すならもっと上手く隠しなよねぇ｣
｢な、何の話だか…｣
｢…｣
｢な、な、なんでそんな目見てくるの〜…？｣
｢一番目が喋ってるから｣
確かにその通りすぎる…
お嬢様は口より意外と目を見た方が分かりやすいとこがある
｢なにそれ！目は喋らないもん！｣
｢い〜や、十分分かったから｣
｢何が？何が分かったの…？｣
｢別に言いふらすつもりないから安心しなよ｣
これは完全に分かってるな…
｢どんだけAといると思ってんの？平日も休日も、冬休みですら一日中いたら誰でも分かるから｣
｢泉くんだからだよ…いるだけじゃ分からないもんだよ｣
｢俺は賢いからねぇ｣
｢そっかぁ…賢いからかぁ…｣
｢…そうそう。そういうこと｣
…
その言葉は、自分の胸に刺さった
お嬢様が誰を思い浮かべてその言葉を口にしたのか、すぐに分かったからだ
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
