3683話 ページ33
✩
｢ねぇねぇ、Aちゃんってなんでいつもよれよれの服しかきないの〜？｣
｢夏もそのながそでだよね。なんで？｣
｢えっと、お気に入りだからだよ！｣
｢え〜？そのぼろぼろが〜？｣
貧乏だから服買えないってことぐらい、分かってほしいなぁ…
頑張って作り笑いをしようとしても、私は痛いところを突かれてうまく笑えなかった
｢み〜ちゃん、今日いっしょに帰れる？｣
｢あっ、うん！帰ろ〜！｣
りっちゃんは何故か、帰り道ずっとにこにこしてた
学校で良いことでもあったのかな？
気になって、私は理由を聞いた
｢今日のりっちゃん、ずっとにこにこだね？｣
｢あのね。シンデレラの本を読んでたの｣
｢シンデレラ…あ！ちちんぷいぷい〜のやつ！｣
｢ふふっ、そうだよ。み〜ちゃんみたいだなって思いながら読んでたんだ｣
｢へ？わたし…？｣
きょとんって顔で私が聞き返すと、りっちゃんは頷いた
｢うん。見た目も心もきれいなのに、ぼろい服を着てるとことか｣
｢うっ…ぼろいって言わなくても…｣
｢やさしくてがまん強いとことか、すごくにてる♪｣
嬉しそうに言うりっちゃんに、私まで嬉しくなった
えへへ…♪
｢シンデレラはね、すてきな王子さまとけっこんして、しあわせになるんだよ。み〜ちゃんも、いつか王子さまとけっこんするよ♪｣
｢す、するかなぁ？王子さまなんていないし…｣
｢じゃあ、王子さまっぽい人？｣
｢ぷっ、あはは！王子さまっぽい人とけっこんしよっかな〜！｣
｢…む。み〜ちゃんは、ぼくといてよ｣
どっち！？
提案しといて、いざ話に乗ったら即裏切る癖はほんとにちっちゃい頃から健在だったな〜なんて
今更思い返しては、ちょっとだけ笑えたりした
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2022年11月8日 19時
