十三話 ページ13
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「俺には、あんたが一番真面目すぎると思うんだけど」
「え?…わっ!?本当にするなら言ってよ!」
「あはは。いじれる人がいないから、からかいたくて仕方ないんだよねぇ」
次はいじられ担当を連れてきてやる、なんて言いながらAは赤い顔を手で覆ってた
用を足しながら、俺はAに質問した
「ねえ、あんた本当に楽しい?」
「楽しいよ!すっごく幸せ!」
「そっか。じゃあさ、これからの人生は楽しみ?」
「もう、だから言ったでしょ〜?全然楽しみじゃないって」
俺はエッちゃんと話を聞いてたから、こいつが田舎に帰る時期も分かってる
「こっちに来てどう思った?世界は広いでしょ」
「広くて困惑しちゃうよ…はぁ、なんか馬鹿馬鹿しくなってきた」
「A。あげる」
「んん?なになに?」
「都会のお土産」
手を洗うと、俺は首にぶら下げてたネックレスを渡した
暇だから作っただけなんだけど
「この前話してたでしょ。ネックレスも作れるよって」
「わぁ…!本当にもらっていいの!?」
「うん。暇だから作っただけだし、いらなかったら捨てといて」
「ううん!ありがとう!大切にするね!」
嬉しそうに、Aはネックレスをまじまじと見ていた
「せっかくだし、俺がかけてあげる」
「ちょ、ちょっと恥ずかしいけど…お願いします!」
「…」
いつもより近い距離にいるAをもう少し見たくて、俺は少し間を置いた
ネックレスをかける前に、俺は耳元で小さく質問した
「この前の返事、決まった?」
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作者名:赤月 音 | 作成日時:2022年7月30日 14時