癒し系彼女と居眠り王子【朔間凛月】 (ページ9)

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レポート9・寡黙な子ページ9

衣更side

まだ9話だぞ？

ここまでして良いのか…？

『ただいま、A♪』

｢あっ！凛月先輩が帰ってきた！｣

｢今名前を呼ばなかったか？｣

｢Aちゃんって言うんだ…｣

翌朝、凛月の部屋に盗聴器を付けてきた俺は罪悪感で胸がいっぱいになった

ごめん、凛月…

許されないけど許してくれ…！

『あれ？ふふっ、それ付けてくれてるの？まさか、学校でも付けてたりしないよね』

｢｢…｣｣

『ダメでしょ、なくしたら大変。それ高かったんだから♪』

｢凛月先輩しか喋らないね？｣

｢寡黙な子なんだろうか｣

あのネックレス、ちゃんと渡せたんだな

勝手に感動してると、凛月はこんなことまで彼女さんに話していた

『ま～くんにお金借りちゃったから、明日返さないと』

｢それ言うのか…｣

『はぁ？Aが誕生日教えてくれないからでしょ。知らずについ最近服買っちゃったし、手持ちがなかったの』

『謝るなら、次からちゃんと教えてよ。つまらないことでも、何でもいいから』

『約束してくれるの？ありがとう♪』

こんなに凛月が喋ってるのに、彼女さんはひと言も声を発さなかった

それとも、盗聴器が凛月のほうに近くて

彼女さんの声が単に遠くて聞こえないだけなのかも

『え？ま～くんに会いたい？』

｢…！｣

『って…いやいや、そんな理由で会わせたくないから。俺がダメ人間みたいじゃん。間違ってはいないけど』

『あはは、そんな否定しなくていいよ…♪』

凛月の声が、いつもより優しくて楽しそうだった

本当に幸せそうだな…

｢…｣

悪い子じゃなさそうだし、もう…良いのかもな

本当にただの杞憂だったのかも

明日、バレないうちに盗聴器も回収してくるか