可哀想になってきました ページ16
｢…｣
｢珍しいなぁ、Aが負けちまうなんて｣
悔しい…変なこと言って立ち去ってったし…
それと、私が一番焦ってるのは顔を見られたこと
｢真緒…ごめん｣
｢気にすんな！それはもう終わった話だろ…｣
｢っ…！｣
｢うおぉっ！？｣
後ろから殴りかかってきた人を背負い投げすると、私は思わず目を見開いてしまった
な、なんで…ここに…
｢くっ…は、離して！｣
｢ぎゃはは！そっちから攻撃しておいて何言ってんだよ｣
｢っ…｣
背負い投げして鈍い音もしたのに、私の手を離さないままそいつは私に聞いてきた
｢…なァ、本当に覚えてねェのか？｣
｢はぁ？何言って…｣
｢師匠に教わった空手を、あんな暴力のために使って良いのかよ｣
｢ま、まさか…燐音くん？｣
｢燐音くん？？｣
うそ…
手を離すと、燐音くんらしき人はすぐに立ち上がった
｢久しぶりだなァ、Aちゃん…♪｣
｢ほ、本当に燐音くんなの？夢じゃない？｣
｢ぎゃはは！俺っちを勝手に殺すんじゃね〜よ。見ないうちに随分女の子らしくなったじゃねェか♪｣
｢は、え…二人はどういう関係！？｣
完全に忘れてた真緒に、私は燐音くんとの関係を説明した
｢昔空手教室に通ってた頃、一時期師匠が引き取ってた男の子が燐音くんだったの｣
｢驚いたぜェ。あんなやんちゃだったAちゃんがこんなに大人しくなってるんだからよう…♪｣
｢私も驚いたよ。あんなに小さかった燐音くんがこんなに大きくなってるんだから｣
なんか隣で真緒が思考停止してる
そろそろ可哀想になってきた
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2021年6月14日 16時
