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いきなり隣に座って寝そべっていた風雅がピクリとして立ち上がり目をギラつかせて唸りだした。


《…グルルルルルルルル!!》


『…!』


その目には怯えと凄まじい怒りが感じられてまさか、と冷や汗が垂れる。


風雅の声に驚いて弟達も目を擦って起きた。


ユウ「…おねえちゃん…」


ユウは不安そうに着物の裾を掴んだ。シュンも起き上がり同様反対側の着物の袖を掴んできた。


そんな2人の頭を撫でて前を見据える。
その時…


ドオォォォォンッ!


という凄まじい音が花畑の方から聞こえてきた。


『!!』


目を見開いて考える。まさか、もう…、そんな焦りが思考を支配する中、私は唇をかんで、弟達の目線に屈むと2人の目をしっかり捉えて言った。


『…今から私は花畑へ様子を見に行ってくる。2人は城へ戻って“秘密の部屋”へ隠れていて。私が行くまでは決して出てはダメ。わかった…?』


私の表情からただ事ではないという2人も感じているようだ。
だが、

「「おれ/ぼく達も行く…!」」


『…!?』


2人は泣きそうな顔をしながら必死に私にしがみついて言う。普段そんなに反抗をしなかった愛しい弟達がすがってくるのに胸が傷んだ。
けれど…


『絶対、絶対にダメ。お願い…、言うことを聞いて』


今回ばかりは愛しい弟達のわがままも聞けない。
私も引かず2人に必死に訴えかけていると…


「姫様!!」


その声に振り返ると…


『!リサ』


かつて私の世話役だったリサがいた。世話役と言ってもリサもまだ若く友達のように接していた。


いつも明るい彼女の目が恐怖に染まっていた。


『…リサ、いいところにきてくれた。お願い。この2人を城の“秘密の部屋”へ連れて行って』


私が真剣な表情でいうと、リサは一瞬戸惑ったがコクリとうなづいてその場に膝まづいた。


『!リサ…?』


驚いているとリサは少し顔を上げ真剣な眼差しで私を見つめこう言った。


リサ「…命に変えてお守り致します。姫様」


『…!』


その言葉に私は微笑んで言った。


『…ありがとう。でもあなたも死ぬことは許さない』


私がそう言うと今度はリサが驚いた表情をした後なぜか泣きそうになった。


リサ「…姫様も生きて必ずまたお会いすると約束を…!」


その言葉に胸が締め付けられたが私はなんとか笑顔を作ってうなづいた。


そして泣きすがる弟達を強く抱き締めおでこに小さくキスを落として後ろ髪を引かれる思いを断ち切り風雅へ跨った。

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sora(プロフ) - 一輝さん» コメントありがとうこざいます!しばらくまた更新が止まってしまっていて申し訳ないです…。楽しみにして頂けているなんて嬉しい限りです。もう少しお待ちください!また更新をしますので!本当にコメントありがとうございました!(^^) (2020年4月12日 22時) (レス) id: 37902fbb7c (このIDを非表示/違反報告)
一輝 - とても面白かったです続きを楽しみに待っています (2020年4月11日 20時) (レス) id: 61bf71a8cd (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - akithin.さん» こちらこそ、更新をお待ち頂きありがとうございます!またコメントをして下さるとは思っていなかったので嬉しい限りです!これからも少しずつですが頑張りますのでよろしくお願いします(*^^*) (2020年3月14日 0時) (レス) id: 37902fbb7c (このIDを非表示/違反報告)
akithin.(プロフ) - 更新ありがとうございます!大変だと思いますが、頑張って下さい!! (2020年3月13日 21時) (レス) id: b194a9b2d3 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - akithin.さん» コメント本当にありがとうございます!過去話は特にたくさん悩んで書いたのでそう言っていただけて本当に嬉しいです!近々また更新を再開しようと思っています。更新停止になってしまっており、申し訳ないです…。少しだけお待ち頂けるとありがたいです! (2020年3月6日 6時) (レス) id: 37902fbb7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作成日時:2019年6月23日 2時

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