一節 十四部 ページ14
蝙蝠の声を聞き流し、二人は線路の上を歩く。カツンカツンと線路が鳴る音、蝙蝠の鳴く声、どこかの空洞音、水が滴る音。沢山の音がその空間の中で奏でられ、ナオは最早楽しくなっていた。
ただ、無言で辺りを警戒する黒龍に心配しながら。
「……」
「どうした…?」
「…いや」
(一応魔物の気配はするが一体どこから……)
「おっ、クロ、広いとこに出るみたいだぞ」
「ん、あぁ」
光輝く先に二人が出るとナオは息を飲んだ。
その空間は青緑に美しく輝き、所々で赤く、黄色に輝いて、精霊たちもクルクルと辺りを舞っていた。
つまりはたくさんの鉱石で溢れていたのだ。中には魔石も混じっていて___
「な、何ここ……」
ナオはこの空間を見て目を見開き声を震わした。
「あ、」
黒龍はそんなナオの姿を見て思わず声を出した。
「住みたいっ‼︎」
(やっぱそうなるよな)
黒龍は予想通りの反応に頭を抱える。
ナオは絶望したように膝から崩れ落ち項垂れていた。
(主、ほんとこういうの好きだよなぁ)
黒龍は隣にある鉱石を指で弾くとキィィィィィィンと鉱石は音を響かせた。
「ぐすっ…こんなかから黄金色の鉱石を探せばええんよね」
「多分な」
数分後、ナオはやっと諦めが着いたのか涙を拭って立ち上がった。
「ふむ、よし、別行動だ」
「…」
「別行動」
「……はぁ、なんかあったら呼べ」
「はいはい」
嫌そうな顔をした黒龍に圧を込めて再び同じことを言えば、諦めたような顔をして別行動を許した。
ナオはノリノリで奥の方へ足を進めて行った。
コツコツとパンプスは音を鳴らす。辺りはエメラルドに輝くばかり。
「にしてもなかなぁ」
黄金色が見当たらず、ナオは地べたに座り込み後ろの方に手を置いて体を支える。
「んや?」
ナオは置いた手の近くに目が行く。そこには微かに金色にキラキラと輝いているものがあった。それは粉っぽく、金箔のようだとナオは指で擦り合わせてそれが金であることを確認した。それはポツポツと零れ落ちていて、ナオはその微かに光るものの先へ辿って行った。
ピコン
―――〔
【光跡探し:報酬その先の宝】
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作者名:宇宙ノ彼方 | 作成日時:2018年12月26日 11時