【赤司征十郎】私はたらしドS赤司君が嫌いです。2【黒子のバスケ】

意地悪が56こ ページ9

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「でももう今日は映画には行けないね、帰ろうか」



もう夜だ、そんな時間は無い。
赤司君は今日を丸一日私のせいで無駄にしてしまったというのに、嫌な顔1つせず駅に向かおうとする。
少しだけ、申し訳無いという気持ちが芽生えて下を向いたまま立ち止まった。



「……A？」

『……ま、待って』



赤司君の洋服の袖を、申し訳程度に掴んで引っ張る。



「どうしたの？」

『あ、明日！あんたどうせ暇でしょ？！明日だったら！い、行ってあげても良いよ……そ、その映画……』

「……は？」

『……か、勘違いしないでよね！今日こんな事して悪いと思ったからで……』



……って私何言ってんの？！
勢いに任せてまたそんな事を言ってしまった。
それに赤司君の服まで掴んで引き止めて……私、何してんの……



今までの赤司君が私にしてきた意地悪や態度を考えれば、私の今日の嫌がらせなんて小さい事じゃん、私がわざわざこんな事言わなくても……



赤司君も面食らったのか驚いて何も言わないし！
恥ずかしくなって慌てて訂正しようとする。



『い、いや、やっぱ今の無』

「ありがとう」

『え、え？！』

「Aは来てくれないだろうなと8割方諦めていたから、そう言ってくれて嬉しいよ」



今度は私が驚く番。
赤司君が、私に対してありがとうなんて言葉を言ったことに対して。
いつもみたいに、とことん私の批判ばかり……なんて事は無くて。



目の前に居るのは本当にあの赤司君なのか、自分の目を疑ってしまう。



「ねぇA」

『は、はい……？』

「それなら明日は、僕が前に買ったワンピースを着てきて欲しいんだが」

『え、や、嫌だよ……』

「……僕へのお詫びのつもりで明日一緒に行ってあげると言ったんじゃないの？」

『な、それとこれとは……』

「今日はAのせいで貴重な休日を潰されたんだけどなー……Aはお詫びしてくれないのかなー」

『……わ、分かった着るから！着るよ……』



やっぱいつもの赤司君だった。
少しだけ違うけど、お詫びって言葉につけこんで悲しそうなフリをしながら私の周りを行ったり来たり。



私が負けて渋々分かったと言うと、一瞬で悲しそうな演技は終わりいつもの無表情に。
……はぁ、これでどうせ明日似合わないとか私に言ってくるんだ絶対……。




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