52話 寝癖 ページ3
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手に水をつけて、Aの寝癖を自ら直し始めた征十郎にAが困惑する。
『え……?いいよ、自分でやる……』
「後ろは見えないだろう」
『……そうだけど……赤司君は自分の練習があるんじゃないの?』
「……」
『と、いうか……あの、近い……』
寝癖を直すだけにしては、距離が近い気がしてAはさっと征十郎から少し離れるが、Aが離れればその分征十郎が近寄ってくるので一向に距離は変わらない。
「出来た、ほら」
それでもAは征十郎から離れて、また征十郎が近寄って……そんな事を繰り返していると寝癖が直ったらしい。
Aが持っていた手鏡を見ると、綺麗にストレートになった黒髪が映った。
『あ、ありがとう……』
とりあえずお礼を言うと、征十郎はAをじっと見つめたままその場から動かない。
『えっと、何か私の顔についてる……?』
「……」
無言。
こうも無言でじっと見られると、Aも良い気はしないのか段々といつもの仏頂面になっていく。
すると
「練習に戻るよ」
何故か征十郎がAの前から退いた。
え……?
何がしたかったのか全く分からない。
しかし体育館に征十郎が戻ろうとする直前、Aは何かを思い出したのか『あ、待って!』と征十郎の服の裾を掴んだ。
ちらちらと周りを確認してから、小声で話す。
『あの、私が赤司君の家に置いてもらう事になったの……誰にもまだ話してないよね?』
「話してないよ」
『良かった……じゃあこのまま誰にも言わないで』
「……」
『後、勝手に私の部屋に入らないで』
「……なんだ、寝顔を見られた事を気にしてるのか?」
『や、やっぱり見たの?!』
「ぐっすり寝ていたね」
『……何で気付かなかったの私……、と、ともかく、次はもう勝手に私の部屋に入ってこないでね、』
「見られたら困るものでもあるの?」
『無いけど……プライバシーの問題!』
「ふぅん」
分かったのか分かっていないのか、曖昧な返事を返す征十郎。
そのままそれ以上は何も言わずに部活に戻って行ってしまったので、Aも結局征十郎が言う事を聞いてくれたのか分からずじまいだ。
家に帰ったらルールを作って赤司君に渡しておこう……
そう決めたAだった。
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どろっぷ - すごく、おもしろかったです。更新、待ってます。 (2020年11月13日 19時) (レス) id: dcfe57966e (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - すっげ………面白れぇ………更新、頑張って下せぇ!! (2020年9月7日 6時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - ????? (2020年8月8日 11時) (レス) id: a60876bc3f (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@新垢2(プロフ) - 仁王彩香さん» 1ヶ月程また更新してませんでしたね……!申し訳無いです……!この後の展開を考えていたら少々行き詰まってしまいまして……笑 でも私も早く2人をもっと進展させたいので、また今週から更新再開させますね! (2020年7月5日 19時) (レス) id: 153d28bbbb (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 更新お願いします。゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: a3e64590b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎セルザ@復帰しました | 作成日時:2019年12月1日 20時