ドS彼氏の彼女攻略【赤司征十郎】

8.バスケ部 ページ9

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「凄い……！全部1回説明しただけなのに…」



やよいは口に手を当てて驚いたという表情でAを見ていた。
その声につられて征十郎もAの姿を視界に捉える。



Aはやよいに言われた事を真面目にこなしているようだったが、今日は簡単な説明をされただけだ。
やよいのサポートが出来れば今日の出来は十分と言えるべきだがAはそれを通り越して一人ででもある程度までは仕事が出来るようになっている。



「玲央先輩、高宮さん理解力高くないですか？！私なんて一人で出来るようになるまで2週間もかかったんですが……」

「あらほんとねぇ、テキパキしてるし本当にやよいちゃんとは正反対の子ね……頼れる戦力になりそうだわ」

「仏頂面だけどな」

「ちょっと！あんたデリカシー無さすぎよ！落ち着いてるって言いなさいよ」



玲央、永吉、やよいの会話を聞いて征十郎もふむ、と顎に手を当てた。
思っていた通り、仕事に関しては真面目にこなす性格のようだ。



しかも理解力も高く、要領も良い。
やはり高宮を勧誘して良かったなと僅か一日で思える程だ。
人付き合いに関しては難がありそうだが。



だが、Aも完璧では無い。
3人が感心している間にスポーツドリンクも作り終えたAはやよいに言われた通り選手に渡していく。
しかし、スポーツドリンクを受け取り早速一口飲んだ選手たちが瞬間皆一様にブーッと噴出した。



「ごほッ！何だこれしょっぱ！！！すっぱ！！！」

「塩？！これスポドリじゃなくて塩水じゃないの？！」



そして口ゆすぎたい！！とこれまた皆一様に水道へと走り去っていく。
取り残されたAは、首をわずかに傾げてまだ配り終わってない残りのスポドリを見つめた。



やよいが何事かと急いでAのもとに駆け寄る。



「ど、どうしたの高宮さん？！」

『……分からない。私はただ夜桜さんに言われた通り作っただけなんだけど』

「えっと材料は……あれ？！塩全部無い！！レモンも無い！！も、もしかしてレモンも塩も全部入れたの？！」

『水に塩とレモンを加えて薄めるって言ってたから』

「全部って意味じゃないよ？！そ、そっか……私の説明不足だったね……ごめんね高宮さん、塩は少量で良いって、後ここにあるレモンは全部入れないでって言えば良かったな……」



そう、Aは基本的に料理や器用な事は全て苦手だった。



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