【赤司征十郎】学校を駆け回れ！2【黒子のバスケ】

71.図工の時間です。 ページ26

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見た目は綺麗だ。
図工室特有の木の小さな椅子があって、少しだけ木くずの匂いが漂っている。
黒板も綺麗、水道の水は……出ないみたい。
不思議とここに来てから喉は1回も乾いていないから、出なくても平気だけどね。



そして懐かしい物達もいっぱい。
ローラーやノコギリ。



『はん画を刷る時に使ったよね』

「そうだよな、めっちゃ懐かしいわ！これあれだよなー、ローラーでインクつけてバレンだっけか、これでこすんだよな、うわやったやった！」



小学校では何回もやったけど、中学とかになったらもう1回もやらなくなるんだよなー、と高尾君が懐かしそうに笑う。



『後自分で木をノコギリで切ってパズルを作ったりとか、結構楽しいものばっかりで』

「……A」

『うん？』



高尾君と懐かしの図工について話していたら、緑間君が私に声をかけた。
不思議そうにしている。
……何かな？



「授業でやった内容は覚えているのか？」



え？
……あ、確かに……言われてみれば小学校の時に授業で何をやったか、そういう知識みたいなものは覚えている。



だから懐かしさを凄く感じて……でも思い出、というものは記憶に無いんだよね……
授業内容は覚えている、けどその時に何があったかは何も覚えていない。



「思い出だけ忘れてるのね……多分そういう事よ」



リコさんが納得したかのように言い聞かせる。
思い出って事は……多分友達の名前とか先生の名前とか、何で大笑いしたのかとか、そういう事が一切私の頭には無いって事、？
……それって、悲しすぎない？
勉強は覚えてて、友達の事は忘れてるなんて……



「……よし、んじゃ思い出す為に俺らが小学生でも演じますか！」

「は？」

「いや、図工の時間の再現でもしたらAちゃん思い出すんじゃね？って思ってよ、真ちゃんと監督さんと俺で友達ABCをやるからガイコツは転校生な」

【え、自分もですか？】

「いやガイコツが居ないと話になんねーよw一番重要なのはお前なんだから、よし、Aちゃんはしっかり俺らの演技を見てろよ？」

『え？』

「ちょっと高尾君？！」



良いから良いからと緑間君とリコさんを向かい側に座らせる高尾君。
ガイコツさんは友達の図工で出された自由課題の出来栄えを見に来た転校生役らしい。



え、こんな事呑気にしてて大丈夫？




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