【赤司征十郎】学校を駆け回れ！2【黒子のバスケ】

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暑い夏の日。



〘……わ、何それ、何かーーーしててーーで綺麗だね……！〙

〘これ？これはねーーーだよ、綺麗だよね〙

〘……良いなぁ……〙

〘欲しいならあげるよ〙

〘え？！いや、要らない！大切そうなものなのに〙

〘間違えて買っちゃった奴だから、ーーーなんてAの方が持ってた方が良いと思うから〙



ドクン、と胸が高鳴った気がした。
太陽が地面を焼いていて、無風の本当に暑い真夏の日、私は、誰かに……何かを貰っていた……？



思い出せそうな頭を手で抑えると、ガイコツさんがふいにペンを走らせた。



【……何かこの教室は嫌な気配がします、開かないですし、そろそろ離れましょう】



高尾君とリコさんと緑間君が、ガイコツさんに言われて教室から離れる。
でも私は、離れられずにいた。
まだ、何か思い出せそうな気がする。
ここに居れば、何か。



「Aちゃん……？何突っ立ってんだ……？」

「ちょっと寒気がするから、一旦離れて、って聞いてる？」

「どうしたのだよ？」

『待って、まだ……何か……』



アスファルトが熱気で揺れている。
暑くて私は帽子を脱いだ。
眩しい日差しが私を照らす。
隣に居た男の子の額にも汗が滲んでいて。
暑いねって笑ってぱたぱたと洋服を掴んで扇いだ。



買ってきた棒アイスの封を開ける。
1つは男の子にあげた。
2人仲良く冷たいアイスをシャリシャリと頬張りながら空を見た。
雲1つ無い青空。



日常に溶け込んでいく。
平和な夏休み。
男の子は言う。



〘太陽を見たら目が痛いから、辞めた方が良いよ〙

〘え？〙

〘だって、涙出てる、痛いからだよね？〙

〘え、あれ？あ、いや……違うの、これは〙

〘痛いからじゃないの？〙

〘……ごめんね、ごめんね、そうなんだけどね〙



隣の男の子は、多分今のガイコツさん。
私は、その端正な顔立ちをした未来ある男の子に多分心の中で言ったんだろうけど口に出てしまっていたらしい。
記憶の中の私は、変な事を口走っていた。



〘……普通が1番の幸せなんだよ、それ以上は求めちゃいけないって、でも……普通はいつか……壊れちゃうんだよ、変化を求めない限り〙



……お願い、皆1年後もどうか、生きていて……



記憶の中の私は、涙を流して笑っていた。
まるで何かを諦めたように、何かを祈るように。



男の子はそんな私を、不思議そうに見つめていた。



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