第４話:古い汚れ。 ページ4
探偵社の扉が開かれる。
社内にいた二人の視線が
集まる。敦と鏡花。
太宰は敦に
先ほどのぬいぐるみを渡した。
「敦君、君に贈り物だよ」
「え、贈り物？
...これって、ぬいぐるみ...」
渡されたぬいぐるみを、
敦はそっと手に取る。
「少し汚れてる」
敦の横から泉鏡花が呟いた。
花飾りで二つに結んだ黒髪。
赤い着物。
首には古い携帯が下げられている。
「太宰さん、これ...
僕が孤児院にいたときに
持っていたものです。
あの日、泣いていた僕に、
誰かがこのぬいぐるみをくれた」
ぬいぐるみを見つめて、
ポツリポツリと敦が言う。
「未だに、誰がこのぬいぐるみを
贈ってきたのか分かってません」
「そうかい」
太宰が薄く微笑んだ。
途端、ニヤリと口角を上げた。
「その人って〜
この子だったりするのかなぁ？」
太宰の後ろから少女が現れた。
「あ...ぁぁ...
し、しししっ、
しっつれいしましたぁぁあ！！」
Aは勢いよく
走り出そうとするが、
進まない。
否、進めないのだ。
「何処に行くんだい？」
太宰がAの服の襟を
掴んで離さない。
「は、離して下さい！！」
「君が、これをくれたの？」
Aがジタバタと暴れていると、
敦が椅子から立ちあがり言った。
「え...。
ぁ、いや！いやいやいや！
ひ、人違いですよ！
私はそんなの知りません！」
「目が泳いでる」
鏡花に指摘され、
Aは深いため息をつく。
「...そうです。
それ、私が敦にあげたものです」
「そっか。そうだったんだ。
ありがとう。
あのとき、すごく嬉しかったんだ。
だからお礼を言いたかったけど
その前に追い出されちゃったから」
にこりと無邪気な笑顔を
浮かべ、頬を掻く敦の仕草に、
Aの顔は赤くなる。
そうだ、この笑顔が、
私は好きなんだ。
「喜んでもらえてたなら、
良かった...
あの、太宰さん？
私、もう行っても良いですか？」
「もっと話さなくても
良いのかい？」
「はい。お仕事の邪魔
したらいけないですし」
そうかい、すまなかったね。
太宰は言って、Aを
外へと送り出したのだった。
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緑野アリス(プロフ) - 粋さん» コメントありがとうございます！これからも精一杯頑張らせて頂きます！ (2018年6月27日 19時) (
レス) id: 1ea7b4cf06 (このIDを非表示/違反報告)
粋(プロフ) - とてもこの作品好きです！夢主ちゃんもとても可愛いです。更新頑張ってください！ (2018年6月27日 19時) (レス) id: 232d77c3ac (このIDを非表示/違反報告)
緑野アリス(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます！これからも精一杯頑張らせて頂きます！ (2018年6月12日 20時) (レス) id: 1ea7b4cf06 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - はじめまして！さくらと言います！このお話とても面白いです(*^^*)これからも頑張ってください！応援してます！このお話大好きです(*^^*)出来たらコメント返してくれると嬉しいです！！！おこがましくてすみませんスライディング土下座 (2018年6月12日 20時) (レス) id: 05de94b2f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑野アリス | 作成日時：2018年6月12日 17時
