39話 ページ40
Aside
―――――ポーン
まもなく、●●空港に到着します
シートベルトを締め、お座席を元の位置に戻し、テーブルを畳んでください
アナウンスを聞きながら座席を戻し、あっという間だった修学旅行を思い返した
スマホのアルバムを見返せばどの瞬間も時間を切り取ったように見えて、当時のことが映像のように頭に流れる
心残りがあるとすれば真ちゃんと一緒に写真を撮れなかったことだけど
まあたくさん話せたし、修学旅行前の少し気まずかった雰囲気がなくなったからオールオッケーかな
そんなことに頭を回らしていたら、隣で寝ていたうららが「ん…」と眠い目を擦りながら体を起こして
私も思わず「もう着くよ」と彼女に微笑んだ
行きに比べて静かな機内は、どれだけみんながはしゃいでいたかを示しているようで
私は楽しかった修学旅行を噛み締めるように目を閉じて口角を上げた
結局…、諦めると心に決めたのにも関わらず全然諦められなくて
真ちゃんも大人な対応をするせいで私のことをどう思っているのかわからない
私に好きと言ってくれた菅原が…私にとってどういう存在かもわからない
真ちゃんのことを考えたと同時に、菅原が頭の中に流れ込んできて
咄嗟に通路を挟んで斜め前に座る彼の横顔に視線をやった
彼はクラスの人気者で、とても優しい
面白いし、私ともノリが合うし
……でも、好き…ではない
この答えが出ているのに、振ることができなかったのはなんでなんだろう
真ちゃんのことを好きと気がついた前の時の感情に似てるような気がする
そんなことを考えながらずっと菅原を眺めていたことが急に恥ずかしくなって、私はバッとうららのほうを向いた
「わっ、なに」と驚いた顔をした彼女に軽く謝って、話を逸らすように窓の外を指さして「綺麗だよ」と呟く
うららはそれを見て幸せそうに「ほんとだ」と笑った
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M - 安定の面白さ。黄瀬じゃないのに、、、今まで緑間普通だと思ってたのに、、、今日、りんさんが書いてくれる緑間に惚れましたw更新頑張ってください! (2020年12月6日 14時) (レス) id: 5e52fa6283 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2020年12月6日 10時