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154話 ページ5

緑間side

家に着いてドアを開け、手を洗う様に促すと
寝たことでさらに意識の遠くなっているAはまるで子供の頃のように俺のいう通りに手を洗いにいった

濡れていた2人の傘を干して、俺の着ていた上着をハンガーにかけると同時に
何か廊下の方から重い音がして俺は思わず声をあげる

「お、おいおいおい」

振り向くと手を洗い終えた彼女が廊下にペタリと座り込んでいて
気持ちよさそうに息をしている

ため息をつきつつすぐさまハンガーをかけ、俺は彼女の元へとむかった

彼女は酔っても変に暴れるタイプではないし
大人しく眠ってくれるあたりはまあマシと言ってもいいだろう

「A、おい、そんな眠いんだったら早く寝ろ」

俺の言葉にうなり声を上げながら俺の腕を掴んで立ち上がった彼女は
小さく「水…、」とつぶやいてリビングへ歩いて行った

伝えたいと言ったはいいが、この様子じゃ何を話しても覚えてないと言われそうで怖い

2人で歩いてきた時は割としっかりしていたので
おそらく勝手に朝帰ることもないだろう

俺は最悪明日にでもゆっくり話せばいいか、なんて思いながら愛おしい彼女の背中を見守って

ソファへなだれ込んだAへ水の入ったコップを差し出した

「ありゃとー…」

両手でグラスを持って喉を鳴らしながら流し込んでいく様子がとても色っぽくて
そんな姿を見て自分も酔っていると自覚する


少し湿った髪の毛に、くるんと上がったまつ毛に

グラスに吸い付いた唇に

…っ、、て、俺は何を考えているんだ

ふと視線を落とすと彼女の羽織っているパーカーは裾が濡れていて
心なしか寒そうに見える

風邪をひいてはいけないと思った俺はすかさず「パーカー、脱ぐのだよ」と声をかけた

すると一応酔ってはいるけれど言葉は届いている様子の彼女は、チャックを下ろすとゆっくりゆっくりと袖から腕を抜いていった


フードが引っかかってなかなかうまく脱げない彼女に手を差し伸べた俺は
腰に手を入れて服を脱がしていく

ち、違うからな

そういう変な意味ではない


しかし湿っているせいで重量を増したパーカーが、中に来ていたブラウスをずるりと巻き込んでしまい

視界をチラつくAの白い腰と、ぶわっと鼻をくすぐる甘い香りが
俺の中にある何かを崩していく

だめだ、と思いながらそっと脱がせたパーカーを回収して
捲れてしまった彼女の服を戻そうと手を置いた時

同じく直そうと思った彼女の手が優しく触れた








「なにしてんのー…変態」

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チョコドーナツ(プロフ) - 更新停止……ですか!!??先が気になりすぎて……そして真ちゃん可愛いし最高ですありがとうございます (4月7日 1時) (レス) id: 915577a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
M - 忙しくて、ずっと読めてませんでした。すみませんm(_ _)m黄瀬くんの方も楽しみにしてます(*^^*)頑張ってください! (2021年6月15日 10時) (レス) id: d11a777a3f (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - Mさん» ありがとうございます( ; ; )そろそろ黄瀬くんのほう書かないと!!!! (2021年5月29日 10時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
M - はい、、、クライマックス、近づいておりますね、、、あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーー。もうダメです。ショートします。( ゚∀゚)・∵. グハッ!!良すぎです。続編きましたが、早いですね。お忙しいと思いますが、頑張ってくださいm(_ _)m (2021年5月28日 13時) (レス) id: e87ddeca49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2021年5月28日 9時

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