179話 ページ31
「あ、あがりました…」
風呂を出てほかほかなAは、たじたじとした様子でリビングに戻ってきて
何故かソファに座る俺からかなり離れたカーペットの上でちょこんと座り込んだ
明らかに何かを意識していて、別人のように固くなっている
「もう、寝れるのか?」
歯磨きもしたか、明日の準備は大丈夫か、などと色々なことを聞くうちに
まるで俺は親のようだと笑ってしまいたくなった
全て終わらせた、と小さく口にする彼女とは目は合わず
俺は少し口を尖らせる
可愛らしいパジャマに、ストレートの髪の毛
少し膨らんだ白い胸元にはあの日のあの思い出が詰まっているように見えて
そこまで思考を巡らせたところで、あまりにも変態的な自分を卑下したくなった
「そんな緊張しなくても、お前の同意なしに手出したりしないから安心するのだよ」
どこの誰が言っているのか
と自分でもつっこみたいが、怯えられていては話したい話もできないだろう
「ぅ、うん」と小さく頷いたAは、変わらず緊張した様子で俺の隣に腰掛けて
その重みで俺の腰もさらに沈む
そして彼女は緊張を紛らわすように、白い細い指で髪の毛をなぞっていた
「…」
すでに静かになったテレビのせいで、何かぎこちない空気が流れているような気がして
そんな雰囲気が良くない方向に俺を煽る
襲わない、そう心に決めていた俺は小さく深呼吸をしてそっと口を開いた
「今年から俺も担任を持ったんだが、…なんというか、…Aがいた頃はとても楽しませてもらっていたんだなと痛感している」
俺の言葉に少し嬉しそうな顔をしたAは、だんだんと微笑むと
どういう意味、と優しく声を出して笑った
さっきまで緊張していた空気が少しほぐれたようで安心だが
彼女との間にはまだ距離を感じる
俺がソファに手を置いて、ずりりと音を立ててそっと彼女との距離を縮めると
それに驚いた彼女と視線が重なった
酒のせいか、風呂のせいかわからないが
いつもより熱った頬が下半身に響く
俺は、今日は何がなんでも我慢してやる、そう心に決めてもう一度小さく深呼吸をした
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チョコドーナツ(プロフ) - 更新停止……ですか!!??先が気になりすぎて……そして真ちゃん可愛いし最高ですありがとうございます (4月7日 1時) (レス) id: 915577a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
M - 忙しくて、ずっと読めてませんでした。すみませんm(_ _)m黄瀬くんの方も楽しみにしてます(*^^*)頑張ってください! (2021年6月15日 10時) (レス) id: d11a777a3f (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - Mさん» ありがとうございます( ; ; )そろそろ黄瀬くんのほう書かないと!!!! (2021年5月29日 10時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
M - はい、、、クライマックス、近づいておりますね、、、あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーー。もうダメです。ショートします。( ゚∀゚)・∵. グハッ!!良すぎです。続編きましたが、早いですね。お忙しいと思いますが、頑張ってくださいm(_ _)m (2021年5月28日 13時) (レス) id: e87ddeca49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2021年5月28日 9時