緑間真太郎は恋にも鈍感3

146話 ページ47

「…んぇえ、あ、うん、」


あのまま気まずいままなのに、謝ることもできていないままこんなふうに話していいのだろうか


『今日は、飲んでるのか』


「…こ、これからのむ、けど」


今起こっていることが理解できないまま、私はただ質問に答えていく

『お前に…伝えたいことがある』


いつにもなく真剣なしんちゃんの声に、思わずキュンとして
伝えたいこと、ってなんだ、と心の中で淡い期待を抱きながら私は「う、うん」と返事をした


『今日、帰りが何時になっても構わない、お前を迎えに行かせてくれないか』


ブワッと込み上げるこの感情に
いつにもなく真ちゃんに心が染まっていく感覚がして

私は少しうわずった声で続ける

「…っ、う、うん！！」



伝えたいことって、何

真ちゃん、期待してもいいのかな、


『絶対、…他のやつについていくな』




『“ 俺が迎えにいく “』



長年憧れた彼からの言葉に咄嗟に泣きそうになって

そんな電話をしているにも関わらず変わらず流れているこの合コンでの時間に

私は何故か心にいわゆる”エモ” を感じる

「…うん、っ待ってる、」


うわずったままの声で嫌われてないだろうか

真ちゃんは今までに聞いたことのない様な声で
私の心を揺さぶった


忘れようと覚悟したはずなのに
私はなんて単純な女なのだろう

馬鹿な女だと笑われてもいい、
それで真ちゃんが迎えにきてくれるなら

私の幸せはきっとそこにある

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