113話 ページ14
ガチャっと私が後ろのドアを開けると、真ちゃんはぶっきらぼうに「助手席座れ」とつぶやいてきて
私はその言葉の意味をよくわからないまま、ドアを閉めて助手席のドアを開けた
冷やりと涼しい冷房の空気がさっきまで死にかけていた私の魂をよみがらせてくれるようだ
「ごめんね、わざわざきてくれて、」
謝りながら席に座りドアを閉め、シートベルトを引っ張る
「気にするな、俺が勝手に来ただけなのだよ」
そんな私のシートの後ろに手を置いて
真ちゃんは車をバックさせはじめた
あ、ドラマでよくみるやつだ、
実際こんなにナチュラルにされると恥ずかしいし
距離はあまり変わらないはずなのに
低い天井のせいでどんどん甘い雰囲気に飲まれていくような気がする
「…、」
ギアを入れて車を発進させると
またいつもの沈黙が流れ始めて
タイヤが道路に擦れる音、風を切る音
車のエンジン音
今日はなぜか、その全てが心地よく感じた
普段学校から真ちゃんのおうちに送ってもらうことはないため
この道も初めて通る場所ばかりで
だんだんと流れていく明るい景色に私は視線を奪われていく
あまり見ない商店街に差し掛かったところで、私の視界に入った綺麗な建物
何か見覚えがある、と脳内で情報を手繰り寄せていくと、友達が楽しそうに話していたカフェだということを思い出した
「…あっ!あのカフェ、…!」
声が出てしまったと気がついて咄嗟に口を押さえたものの
すでに声はしっかりと漏れてしまっていたようで
心から恥ずかしくなった私はそのままフイっと顔をそらす
そんな私を見て、なのか
車を運転する真ちゃんが鼻で笑う声が聞こえて
私はゆっくりと視線を上げた
別に車に乗っているのはいつものことだし
特別なことは何もないはずなのに
夜の色とりどりな街灯に照らされた彼の顔は
私の胸を簡単に焦がしていった
メガネの蓋から覗く色っぽい目は昔から変わらない
陶器のような白い肌が眩しくて
整った鼻や口がさらにそれを引き立てている
普段あまり笑わないはずの真ちゃんの上がった口角に
簡単に頬が熱くなっていく自分が
どれだけこの人に心を奪われているのか教えてくれた
たしかに一度重なったはずの唇がそこにはあって
もう1年半も前のことなのに、あの時のことがフラッシュバックして心が熱くなる
あまりにも長い時間彼の顔を眺めていたため
真ちゃんがこっちを向いては困る、と急に焦り出した私は、また視線をゆっくりとそらした
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りん(プロフ) - Mさん» んもーーそろそろクライマックスですよ〜ぅ!!心の準備はいいですかぁぁぁぁぁぁぁっっ笑 (2021年5月28日 9時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
M - というか!!!今日のなんですか。あれは、あきまへんよ。あんなとこで止められたらワクワクしすぎて吹っ飛びます。余裕で宇宙ぐらいまで飛んでいってしまいます、、、www更新待ってます(о´∀`о) (2021年5月27日 20時) (レス) id: fb481de1a8 (このIDを非表示/違反報告)
M - 消さないでくださいね?!絶対消したらダメですよ。自分めっちゃ楽しんでるんで、、、消されたら辛いです(´;ω;`) (2021年5月27日 20時) (レス) id: fb481de1a8 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - Mさん» いや〜、自分でも黒歴史積み上げてるだけだなぁって思いながらやめられなくなりました。恥ずかしさで死にたくなったらいつか消します笑笑笑笑 (2021年5月23日 10時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
M - コロナ、最近すごいですよね。。。全国的に。いっつもニヤニヤしながら読ませて頂いてます。なんだろう。やっぱ、りんさんの選ぶ言葉とか書き方にすごく惹かれます。更新待ってます(о´∀`о) (2021年5月22日 1時) (レス) id: fb481de1a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2021年4月13日 10時