89話 ページ40
緑間side
「「かーんぱーーい！」」
紙コップを高く突き上げ、無事卒業式を終えた三年生が声を上げる
それと同時にみんなは声を揃えて繰り返し、俺も合わせて紙コップを高く突き上げた
卒業式の後は恒例の部活での集まりに参加していた俺は、すでに涙が出そうな三年生を見守りながら思い出に浸っている
3年生へのプレゼント、色紙、思い出ムービーなどの全ての出し物が終え、一試合終えた俺たちは
やっとわざわざ確保した多目的室でピザを囲んでいた
「先生、…俺、先生とバスケしたくてこの高校入りました、」
俺より少し小さい元キャプテンが俺の元へ駆け寄り、涙ぐんだ目を擦る
そんな彼を見て頬が緩んだ俺は、温かい声で「そうか、それは嬉しいのだよ」と返事をした
「高尾さんと、緑間先生のファンで、…卒業したらサインもらうって決めてたんです、」
いただけますか？とそんな遠慮がちに頼まれたら、断れるはずがない
ましてやこの部活にとても貢献して誰よりも努力してきた彼に、俺も何かしてあげたいと思っていたところだった
「普通は生徒からこう言うの受け付けてないんだがな」
少し口角を上げながらペンを受け取った俺の目に映るのは、だんだん笑顔になる卒業生
俺がこの歳の頃は、まさか自分が秀徳で先生をしているなんて考えもしなかった
これから未来がある彼らに、俺のバスケ人生を託したい、その一心で
俺に向いた大きな背中にペンを走らせる
あの頃から変わらないオレンジの部Tに、俺のサインが刻まれた
普段涙が出るような人間ではないが、心なしか目頭が熱い気がする
「一生宝物にします、ありがとうございました！！」
深々と俺に頭を下げた卒業生に俺からもお礼をして
涙混じりのパーティはそのあとも静かになることはなかった
もちろん部活によるが、大抵の部活はこうやって送る会をしているはずで
そんなことを考えた脳裏にAのことがよぎる
卒業式の前か後にもし最後に話せたら、そう思ったはずなのに時間はあっという間に過ぎていき
俺が廊下で囲まれている間に視界の端に捉えた彼女は少し寂しそうな顔をしていたことを思いだした
バレンタインのあの日
何を思ったか俺は彼女に手を出そうとして
あの日は車を動かしたことで心配をした高尾のおかげで何事もなく済んだ
彼女のことを考えて胸がズキズキすると同時に、飲み過ぎた昨日のせいで頭すら痛くなってくる
このままもう、会うことはないのだろうか
…俺は、………
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りん(プロフ) - ぱなおさん» メッセージいただいたら書くしかねぇ！ってなりました！この小説はサクッと終わる予定なのでサクッと書きますね笑最後までお楽しみいただけたら嬉しいです！ (2021年4月5日 9時) (
レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - りんさん» わー！！返信嬉しいです、更新もありがとうございます（ ; ; ）いつまでも待ち続けますので無理せずに更新してくださいね！！（ ; ; ） (2021年4月5日 0時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ぱなおさん» ぱなおさんありがとうございます（ ; ; ）最近リアルが鬼忙しくて投稿が滞っておりますが、終わる気はさらさらありませんので頑張って書きます！！これからもよろしくお願いします（ ; ; ） (2021年4月4日 10時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなお(プロフ) - 最高すぎて一気読みしました！！続き待ってます（ ; ; ） (2021年4月4日 1時) (レス) id: a37a5acae8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りん | 作成日時：2021年3月4日 11時
