佰玖拾弐話 ページ7
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師範に見送られて銀杏並木までの道を歩く。
『ふふ、賑やかな家族だよねホント』
後からお兄ちゃんやお父さんも出てきて家の前がお祭り状態になったのを思い出して一人で笑ってしまう。
また、この世に生まれてこれて良かった
昔、失ってしまった家族と現世ではこうして穏やかな日々を過ごせる事に感謝しかない。
他の皆んなにはまだ逢えてないけど、師範に逢えたって事はきっと何処かにいるはずだって信じてる。
『…無一郎はどこにいるのかなぁ』
そんな日々の中でいつも想うのは大切な人の事。
幼い頃から自分に何か欠けている気がしていた
家族や友達に恵まれていても、何か大切なものが足りない気がしてならなかった
まるで自分の片割れを無くしてる、そんな気分だった
前世の記憶が戻ったのは最近で、その時自分に欠けているものが分かった。
記憶が戻ってすぐに無一郎を探し始めたけど、少しの情報もないんだよね……
でも、必ずいつか逢えるって信じてるから。
『無一郎も私の事思い出してると良いなぁ…』
早く逢いたくて仕方がない
昔みたいに抱き締めてほしい
優しい瞳で私を見て、優しい声で名前を呼んでほしい
そんな事を思っていたらいつの間にか銀杏並木に着いてしまった。
『師範は何でここに行けって言ったんだろ』
周りを見ても何もない
銀杏の木も今はまだ葉もついてない
『ここの銀杏並木好きなんだよねぇ』
季節がくると綺麗に染まる並木道を見つめる
色がついたこの道を無一郎と手を繋いで歩きたい
色々な話をしながらゆっくりと
『出来れば、おばあちゃんになるまでには逢いたいなぁ……』
ポツリとそんな願望を口に出した時、後ろからクスッと笑い声が聞こえた。
「それだと、僕が待ちきれないよ」
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あい - 完結本当におめでとうございます!!とってもおもしろかったです!おつかれさまでした! (2022年10月10日 10時) (レス) @page16 id: 59a559ed23 (このIDを非表示/違反報告)
ライチュウLove - 無一郎がとても大好きで、いろんな無一郎の小説を探し回ってる中でも、この小説が1番ダントツで好きです!!無一郎に会いたい気持ちでいっぱいな時や、良い小説が見つからない時に、いつも読んでます!花言葉、面白いですね!素晴らしい作品をありがとうございました! (2022年7月19日 23時) (レス) id: 9cfbcd581d (このIDを非表示/違反報告)
アスパラガス(プロフ) - 完結おめでとうございます!途中から号泣しながら小説を読んでました!少しづつ見てきて、やっと最後まで見ることが出来ました。素晴らしい小説に出会えてよかったです! (2021年4月13日 1時) (レス) id: 9437ea24d0 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 茜さん» 茜様、いつも暖かいコメント本当にありがとうございましたm(_ _)m好きだと言って頂けて本当に嬉しいです(*´ω`*)未来編書くの楽しかったです!!私の方こそ長きに渡り本当に本当にありがとうございました!また次回作でお会いできたら嬉しいです(*´ω`*) (2021年4月7日 9時) (レス) id: 52dd4b1169 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - あっ!未来編ありがとうございましたっ!!書くの忘れちゃったんですけどどうしても伝えたくて…本当におつかれ様ですっ!! (2021年4月5日 15時) (レス) id: 940f9d3174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮 | 作成日時:2021年3月27日 23時