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tune.22 ページ22

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「‥‥レオ先輩は、何で私に曲の感想を聞いたんですか?」

専門的な意見を求めていたのなら、私ではなく瀬名さん達に聞いた方が絶対に良かったはずだ。純粋な疑問からそう尋ねると、彼は「うーん」と呟いた。

「単にAの感想が聞きたかったからだな」

「先輩が満足するようなこと言えてました‥‥?」

「おれが満足するかしないかは、関係ないだろ?」

はて、と首を傾げた。

「おれは、おれの曲を聴いておまえがどう思ったかを知りたかったから、感想を聞いた」

つまり、大衆がその音楽を耳にしたときに感じたことを知りたかっただけなのだろうか。
そう考えれば、Knightsでもなく、あんずさんでもなく、私に聞いたことと辻褄が合う。私はまだ夢ノ咲学院という一種の芸能界の色に染まりきっていないからだ。

「なるほど」

「本当にわかったのか?」

「多分‥‥?」


突然レオさんが「あっ!」と叫んだ。
かと思えば、道の真ん中にしゃがみ込んでスクールバッグから五線譜ノートとペンを取り出した。
まさか、と思ったのも束の間、もの凄い勢いで音符を書き連ねていく。

「ちょ、ちょっと!?」

「霊感が湧いてきた!」

「インスピレーション!?」

慌てて周囲を確認する。人通りも車通りも少なく、一応の間は迷惑にはならなさそうだ。そのことにほっと息をつき、少し躊躇いつつ彼のそばに膝をついた。

「書ける書ける! やっぱりおれは天才だな!」

邪魔しない方がいいだろうか、と悩む。でも、早いところ帰らないと電車の繋ぎが悪くなる。報告書をまとめる時間を考えると、あまりダラダラできない。何より、いつまでも道の真ん中でこんなことしているわけにもいかないだろう。


「───‥‥」

けれど、こんなにも目を輝かせてノートと向き合っている姿を見てしまっては、止めるのも憚られた。

「‥‥レオ先輩、レオ先輩」

「何だ!? 今のおれは止まらないぞ!」

「はい、止めなくていいので、せめて端っこに寄りましょう。車が来たら轢かれますよ」

「それは困るな!」

彼の鞄を抱え、袖を引っ張って道端に誘導する。その間、レオさんはペンを動かす手を止めなかった。
座り込んだレオさんの横に立ち、タブレットを起動させる。元々報告書はメールでもいいと言われていたし、ここでも書けるだろう。


レオさんが漸く一区切りついたのは、3分の2ほど報告書を書き終えたときで、時計は20時を回っていた。

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夏向(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。めちゃくちゃ原動力になります!! (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - れいゆふさん» ありがとうございます。そういったコメントを頂けると作者冥利に尽きます…!! (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - とても面白かったです!続きがとても楽しみです! (2021年5月16日 15時) (レス) id: 5a0e3d3105 (このIDを非表示/違反報告)
れいゆふ(プロフ) - めっちゃ好きです!更新楽しみにしております! (2021年5月12日 3時) (レス) id: e48528e707 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 星宙*°さん» ありがとうございます。感想めちゃくちゃ嬉しいです…!のんびり更新の上どこまで続くかわかりませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです^^ (2021年5月11日 22時) (レス) id: fd39a6918d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏向 | 作成日時:2021年3月31日 16時

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