tune.3 ページ3
·
3人とはラウンジで別れ、私は一人目的地へ向かう。そもそも非番の今日、本部に来たのは上層部から呼び出しを食らったからだった。
今までも何度かこうして呼び出されたことがあり、それらは決まって同じ理由でだった。そのためおそらく今回もそうなんだろうな、と思い憂鬱になる。これまでの出頭要請の回数からして、そろそろ外堀を固め退路を断たれそうな予感もしている。
ふぅ、と覚悟を決めて会議室の扉を叩く。失礼します、と声をかけてから入室すれば、「わざわざ来てもらってすまない」と忍田本部長が謝罪。いえ、とだけ短く返した。
───こちらこそ頑固者ですみません。
「ええと、一応お聞きしますが、私が今日呼び出されたのは‥‥」
おそるおそる切り出すと、沢村さんが「これを」と資料を机上に滑らせた。なんだ、ついに強行策でも出されるのか。受け取って、ぺらりと1枚捲る。
「‥‥？」
そこに載っていたのは、顔写真とおおまかなその人の情報。もう1枚捲っても、同じような形式で構成されていた。ざっと全てに目を通してみるが、その資料の大半が大雑把な履歴書のようになっていた。
実のところ、それは予想していた。しかし載っている人物たちに関しては全くの予想外で、視線が忍田さんと資料の間を何度も行き来した。
「あ、あの、忍田さん？
‥‥なんで、アイドルの履歴書を‥‥？」
てっきりC級の隊員名簿を渡されるものだと思っていた。
私の顔にそう書いてあったのだろうか、忍田さんは「今日呼び出したのは違うんだ」と説明した。
‥‥あれ、まさか、なんかめんどくさいことに巻き込まれてる？
「
城戸指令が厳かに宣言した。
「‥‥‥こべつ、にんむ」
「ああ、そうだ。
具体的には───『私立夢ノ咲学院』で防衛任務に当たってもらう」
私の脳味噌は、勝手に本部に来るまでの間の会話を再生した。
私立夢ノ咲学院。アイドル育成に特化した学校。
───そこでの、防衛任務。
「‥‥ええと、まず、最初から説明していただいても‥‥？」
今すぐ会議室から逃げ出したい衝動を抑え込み、申し訳程度の理性で尋ねた。逃走しなかった私、偉い。
───まさか上層部がこんな手を使ってくるなんて思ってもいなかった。
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「あんスタ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏向(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。めちゃくちゃ原動力になります！！ (2021年5月16日 22時) (
レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - れいゆふさん» ありがとうございます。そういったコメントを頂けると作者冥利に尽きます…！！ (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - とても面白かったです！続きがとても楽しみです！ (2021年5月16日 15時) (レス) id: 5a0e3d3105 (このIDを非表示/違反報告)
れいゆふ(プロフ) - めっちゃ好きです！更新楽しみにしております！ (2021年5月12日 3時) (レス) id: e48528e707 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 星宙*°さん» ありがとうございます。感想めちゃくちゃ嬉しいです…！のんびり更新の上どこまで続くかわかりませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです^^ (2021年5月11日 22時) (レス) id: fd39a6918d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏向 | 作成日時：2021年3月31日 16時
