数百年ぶりに再会した婚約者が全て忘れておったんじゃが

＊11話＊ ページ12

「神から…？」



罰があたるようなことはなにもしてないはず…多分…。



小さな悪戯とかはしたことあるけど…でも、神様に怒られるようなことじゃないと思う…。



「してないはずです…」



「ふむ…。お主が覚えておらんだけで、何かやらかしたのかもしれんな」



リリア先輩は、口角を上げる。鋭い牙がチラリと見えた。



「それこそ、わしとの結婚式前日にいなくなったこととかな」



「確かにそれはとても悪いことですけど…神様がわざわざ罰しますかね…？」



私の体が消えるのが本当に呪いであるならば、神様がその呪いを私にかけたのならば、私は相当酷いことをしたに違いない。



「冗談じゃ。結婚式をすっぽかしたとしても、神はそんなことでお主に呪いはかけん」



お主は神に愛された子なのじゃから、とリリア先輩は言う。



「この子が…？」



ジェイドが驚いた顔で私を見る。



言わんとすることはわかる。だって私は、しょっぼい魔法しか使えないただの人魚だ。



神に愛されたなんて、そんなのあるはずない。



「Aはただの人魚です。少し不思議なところはありますが」



「Aが人魚だと思うのは、尾ひれが生えているからじゃろう？」



アズールはうなずく。尾ひれがあるから、人魚。当たり前だ。



「Aは確かに人魚そっくりじゃが…厳密には違う」



「え、私は人魚じゃないんですか…？」



「あぁ。お主は…」



息を呑む。私は一体なんなんだろう…？

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