【あんスタ】夜行少女【逆先夏目】 (ページ9)

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1章　魔法使い( 7 ) ページ9

「魔法を掛けてみて分かったんだけド、どうやら子猫ちゃんは魔法に掛かり易い体質みたいだネ。」

「…私が？…そうなのかな、今まであんまり占いとか魔法とか信じてなかったけど、信じなくても掛かり易かったりするんだね。」

イヤホンを柔く握り締めながらぼんやりと考える。音楽は止めている為今は何も流れていない。

魔法だとかそういうものは信じる事で掛かりやすくなる物だと思っていたけど本当の所はそうでもなかったみたいだ。

いや、本当に身体が軽くなっているのか分からないけど。一先ず立ち上がってはぴょんっと一回その場で飛んでみた。そのまま何度か繰り返し跳ねてみたり、一回転してみたり。

う～ん。気持ち的には何だか軽くなった気もするけれど、果たして本当に気がするだけなのか。すぐには流石に自分でも違いが分からなかった。

「今回はボクだったから良かったけド、悪い魔法使いに捕まらない様気を付けるんだヨ？世の中に居る占い師や魔法使いがみんな善人とも限らないでショ。」

「悪い魔法使いかぁ…そもそも、魔法使いなんて名乗る人は夏目くんが初めてだからさ、これから先の人生で夏目くん以外の魔法使いさんに会う気がしないや。」

腕を組んで考えてみるけどやっぱり思い浮かばない。そもそも今の御時世に魔法使いを名乗る人がいるとも思っていなかったし。

夏目くんは話を続ける。街の光をきらりと反射した五芒星の形が少しだけまぶしい。

「…それにボクだっテ、今日出会ったばかりなのに子猫ちゃんはいとも簡単にボクの魔法を受け入れタ。」

「それは、うーん、なんでだろう。何となく夏目くんの言う魔法を体験してみたくなったから？なんて言えばいいんだろう、信じてみたくなったから、かなあ。」

確かに怪しさ満天だったが、まあそれもさっきと同じ理由。
怪しいと思いはしたが彼の言葉は嘘にも聞こえなかったから、夏目くんの話し方にはそういう企みがあるのかもしれないけれど。

なんて考えていると夏目くんはやっぱり心配そうに眉を寄せては私を見詰めてくる。なんでこんなに彼は出会ったばかりの私を心配してくれるのだろう。

「…正直、ボクは少し子猫ちゃんが心配だヨ。ホント、変な奴に騙されないといいんだけド。」

「そんなのないない、じゃああれだよ。夏目くん以外の魔法使いは信じなきゃいいって事だよね？」

我ながら、とんだ名案だなと思った。彼以外の魔法使いを信じなければ危険な目に合う事はきっと無いはずだ。