【あんスタ】夜行少女【逆先夏目】 (ページ40)

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3章　小さな世界( 6 ) ページ40

ピピッ、と口内の体温計から音が鳴る。

失礼するヨ、と夏目くんに言われては取り出される体温計。熱が篭もる頭を動かしては彼の方を見遣る。

「……39.5℃。…零にいさんから聞いてた体温より上がってるネ。」

「う、うそ……寝る前より、あがってる………」

聞いた体温を聞いてびっくりしてしまった。

私の体温は下がるどころか上がってしまっていたのだ。

………まあ、あんな夢を見たあとでは当然かもしれないが。

「取り敢えず何か食べないと薬も飲ませられないシ、……お粥、作ってきてあげるヨ。」

「ご、ごめんね……あの、今日学校なのに、しかもまた迷惑かけちゃったし、えっと、気づいたら私の部屋の中にいるし、それから…む、」

聞きたい事も謝りたい事も色々あったのに、唇へ人差し指を宛てられては言葉を止められてしまう。

…こんな止め方しなくたっていいのに。

「はいはイ、質問は待ってネ。先に野良猫ちゃんのご飯を作らないト。…そうむくれないデ。後で全部答えてあげるかラ。」

「……ん、むくれてないもん。」

指が離れたのでそう答えれば夏目くんは楽しそうに’ほラ、むくれてル♪’なんて言って笑うから、私は更にむうう、と頬を膨らませた。

それじゃあキッチンを借りるネ、と言って部屋を後にしようとする夏目くんを待って、と呼び止める。

……………すごく言いにくいこと、なのだけれど。

「うう…えっと、あの、なつめくん………」

「ン？どうかしたノ、野良猫ちゃん。」

「…………と、といれ……いき、たいん、だけど……トイレまで、ささえて、くれる…？」

そう、忘れ掛けていたが今の時刻は11時。つまりは昼間。

………私の体が殆ど動かない時間帯だった。

恥を忍んで彼にトイレまで支えて欲しいとお願いしてみる。

こんな話題を出すこと自体恥ずかしいけど、最悪の事態を想定すると恥ずかしい所の話では無くなってしまうので泣く泣く頼むことにしたのだ。

「……………あァ、そうだっタ。この時間帯、野良猫ちゃんの身体は殆ど動かないんだッケ…恥ずかしい事を言わせちゃってごめんネ。野良猫ちゃん、自分で起きられそウ？」

「………む、むり、かも…ごめん、起こして、ほしいな…」

そういえば背へ手を回して夏目くんが私を起こしくれる。

こんな事を彼に頼まざる負えない状況と自分の羞恥心、そして熱のおかげで耳まで真っ赤に染めた私は、彼に摑まり力を掘り絞ってなんとかベッドから立ち上がった。