【あんスタ】夜行少女【逆先夏目】 (ページ33)

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3章　小さな世界( 2 ) ページ33

なんとか布団から起きようと身体を起こそうとするも、力が入らない。…ああ、本当に風邪なんだ。これじゃあ治るまで、街には出られそうにない。

少しだけ、感傷的な気持ちになりかけていると優しく頭を撫でられる感覚。

私を撫でてくれていたのは零だった。

「そう悲しそうな顔をするでない、Aちゃんがいい子にしておればこんな風邪、直ぐに治るじゃろう。我輩と凛月も来れる時は何時でも看病に来るから、寂しく感じることはないのじゃよ……♪」

「そうそう、もしこのゴミみたいな奴が居なくても、俺がちゃんとAの事見ててあげるから安心して寝てていいよ。」

ゴミ、と言われた零は何やら悲しそうだがこの二人のやり取りはいつもの事なのでこの際ツッコまないことにする。…というか、ツッコむ元気もそんなに残ってなかったり。

けれど、一つだけ問題があった。

「…そう、だ。二人とも、今は夜中だからこうして来れてるけど、昼間は来られないよね………」

そう、二人は夢ノ咲の生徒。

つまり、私にとっての’夜中’である’昼間’は、ここへ来られないのだ。

「我輩は別にサボってもいいんじゃが、わんこが煩くてのう………すまんが、昼間は我輩も見てやれなさそうじゃ。」

「俺もま～くんにお世話されてあげないと。俺の世話が出来ないってま～くんが欲求不満になっちゃうかもしれないし………」

「よ、欲求不満って言い方………んん、でも二人ともお友達とか居るんだから、ちゃんと学校には行きなよ。」

そう、私みたいに元から学校へ行っていない人間ならともかく、二人には学校がある。

幾ら本人達が良くてもやっぱり学校をサボったりするのは良くないし、友人にだって心配されるはずだ。

それに、私なんかの為に学校の時間まで迷惑を掛けたくない。

ね？と言いながら昼間は来なくても大丈夫だと言ってみせるも、零はまだ納得してないみたい。

……すると零は何かを思いついたのか、一つの提案を私に告げる。

「…そうじゃ、確かAちゃんは逆先くんと仲が良かったじゃろ？………うむ、逆先くんにAちゃんの昼間の昼間の面倒を頼もう。それなら我輩も安心じゃ。」

「………え、夏目くんを？……いやいやいや、まって。夏目くんだって学校があるし、駄目だよ…！？」

出てきた名前に驚いて私は目を丸くする。何かと彼には世話になっているのに、風邪の世話までなんて、とてもじゃないが任せられなかった。