【あんスタ】夜行少女【逆先夏目】 (ページ15)

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2章　街の灯り( 1 ) ページ15

「……んん、ん。」

小さな唸り声をあげながら今日も私は瞳を覚ます。身体の怠さは普段通りに戻っていたが、慣れていたので苦でもない。時刻が気になりスマホの時計を見てみれば18時。丁度、動ける様になる時間帯だった。

寝起きの頭をなんとか起こし、昨日の事を思い出す。気になったのは昨日の夜、本当に身体が軽くなった事だ。

魔法に驚きこそしたものの、帰ってからは読書をして、陽が登る前にシャワーを浴びて眠ってしまったから夏目くんに連絡するのをすっかり忘れてしまっていた。

連絡した所で彼が返事をくれるかどうかは、分からないが。

取り敢えず昨日の感想と感謝だけでも送ろうとSNSのアプリをタップすれば登録されている知人の名前が並ぶ。…と言っても、こんな私の知人なんて片手で数えられる程度しかいない。

一先ず’逆先夏目’という名前をタップしてトーク画面を開けばポチボチ、文字を打ち始めた。

…ついうっかりおはようと言いそうになったが、彼からしたら今の時刻はこんばんは、だろう。危ない危ない。

『こんばんは夏目くん。
昨晩、貴方の魔法に掛けられた野良猫ちゃん…って自分で言うのもなんかあれだけど、もといAです。
夏目くんとさよならした後、本当に身体が軽くなったんだよ、びっくりしちゃった。あんな魔法が使えるなんて、夏目くんはやっぱりすごい人なんだね。あ、人っていうより魔法使いかな？
ともかく、私に魔法を掛けてくれてありがとう、いい体験ができました。』

……なんだか本当に拙い感想文みたいになってしまった、しかも最初のメッセージなのに長いし。夏目くんに少し引かれてしまうかもしれないけれど仕方ない。

だって自分はこうして他人とSNSで会話したりしないのだから。

それによくよく考えれば彼はSNSの文章などあまり気にする人でもなさそうだし、大丈夫か、とまた一人納得して自己完結を済ませた。

送信ボタンを押せば無事、彼に送られたことを示す送信時刻が表示される。よし、これで昨日の事については良いだろう。

スマホを閉じればベッドから起き上がって何時もの様に身支度を始める。

さあ、今日も街へ行こう。

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