2章 街の灯り( 2 ) ページ16
何時も通りに出てきた街の中。
今日のお供はブラックコーヒー。ちなみに言うと自販機産。
頭が少し怠かったのでぼやけた頭にコーヒーの苦さが染み渡って丁度いい。
ごくりとコーヒーを呷りながら街を見渡した。今日も相変わらず、街は輝きを放っていて美しい。
この光が一つ一つ、人がいる事によって放たれる輝きだと言うのだから驚きだ。いや、照明とかモニターとか、そういうのもあるけれど。
中身が少し減った缶コーヒーを片手に今日もぶらぶら街を歩く。此処の通りは飲食店が多い印象だ。
そういえば、夜中に食べると太る、なんて話も本で読んだけれど生憎私は昼間を起きて居られないので夜に食べるしかない。…まあ、その分昼間は本当に何も食べず寝ているだけなのでそれで丁度いいのかもしれないが。
そんな訳で私が今探しているのは今日の夕食……では無く、私にとっての朝食だ。
私はどちらかというと起きてすぐご飯が食べられない人間なので、かるーく胃に詰められそうな物を探す。………立ち並ぶ飲食店には少し申し訳ないが、コンビニで済ませる事にした。
─────
コンビニに入って小さなクリームパンを買って、イートインスペースに腰を下ろす。
中身が残ったブラックコーヒーを啜りながら買ったクリームパンを開ける。いただきます、と挨拶をしてかぷりと一口、齧りついた。
程よいカスタードの甘さ、それを打ち消すようなブラックコーヒーの苦さ。この2つが相俟って丁度いい美味しさだ。
もぐもぐとクリームパンを咀嚼しながらぼんやりとまた考える。思考を占めていたのは昨日出会った彼、夏目くんについて。
流石に2日連続で会うという事はなさそうだが、また出会う事があれば彼の色んな魔法を見てみたい。
まあ、あくまでも出会えたら、の話だ。
送ったメッセージに既読は付いていなかったし、彼もきっと忙しいのだろう。何せアイドルと占い師、2つを掛け持っている魔法使いなのだし。
………改めて考えてみると、彼も大変そうだなと思う。私だったら占い師もアイドルもなんて無理だ。どっちか片方だけでも辛いと言ってしまう気がする。
気付けば囓っていたクリームパンが無くなっていて、呷っていた筈のブラックコーヒーも中身が空になっていた。どうやら食べ終わったらしい。
ごちそうさまでした、と手を合わせて備え付けのゴミ箱へ空になったゴミを捨てた。
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エンドロール - すごくこの作品好きです!描写も細かいし何より読みやすくて面白い!これからも頑張ってください、応援してます。 (2020年1月18日 13時) (レス) id: feeead544b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドロップ | 作成日時:2020年1月15日 9時