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2章 街の灯り( 5 ) ページ19

あの後は色々なリズムゲームをやった。

まずは太鼓を叩くリズムゲーム。やり甲斐があって楽しいんだけれど、あれは腕が疲れてしまう。2クレジット程度でやめておかないと腕が辛くなってしまうので限度を考えなければいけないのだ。


次にピアノの鍵盤を弾く様なリズムゲーム。本物のピアノを弾いた事は無いんだけれど、あのリズムゲームならば出来る。

好きな曲がピアノアレンジになっていて、普段はとはまた違う曲を聴ける為このリズムゲームをプレイする頻度は割と高い。


次に長方形の画面を見詰めながらプレイするゲーム。ボタンとレバーが合体したような形状の機体は中々無いため、新鮮なリズムゲームはプレイしていてとても楽しい。


そうして他にも幾つかプレイして満足した私はゲーセンから一旦出る事にした。

沢山好きな曲のリズムゲームをプレイして満足出来たが、ゲーセンは音が大きいので中に居るだけで疲れてしまうのだ。


─────


ゲーセンを出て自販機で買ったお茶を飲んではスマホの時計を確認する。どうやらまあまあ居た様で今の時刻は午後23時。


リズムゲームをやって気持ちがスッキリ出来た所で、少し身体を休めたいという気持ちも出てくる。

そこで丁度いい所にあった、大きな書店へ入ればエスカレーターで2階へ。備え付けられたソファに休憩がてら腰を下ろす事にした。


此処の書店はガラス張りになっていて、外の景色がよく見える。外で直接見上げる景色も悪くはないが、こうしてガラス越しに見詰める景色も悪くない。


…私からすれば、全ての物事がガラス越しに見ている様な感覚だった。本で得た知識も、実際に見た訳ではない。

人間関係だってそう、昨日出会った夏目くんだって、本来ならば私と関わりを持つ事が無い人だった。
私が魔法に対して呟いたら彼が偶々その発言を聞いていて、あんな風に声を掛けてくれただけだったのだから。


でも、夏目くんとしたやり取りはガラス越しではない。きちんと目の前にいて、言葉を交したんだ。


ガラス越しに街を行き交う人々を眺めてみる。楽しそうに友人と歩く者や、仲睦まじく歩く恋人達。……そういったモノを見ると、少しだけ今の自分に感傷的になってしまうが、それは羨みからではない。


自分の虚しさからだった。


家に帰ったって、親はいない。



学校になんて行っていないから友達もほとんど居ないような物だし、恋人なんて以ての外だ。

…自分の恋愛について、考えた事なんて殆どなかったけれど。

2章 呪われた身体( 1 )→←2章 街の灯り( 4 )



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エンドロール - すごくこの作品好きです!描写も細かいし何より読みやすくて面白い!これからも頑張ってください、応援してます。 (2020年1月18日 13時) (レス) id: feeead544b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドロップ | 作成日時:2020年1月15日 9時

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