21セーブ 自慢できるもの ページ21
「うっぜーな、私のすることに口だしてんじゃねーよ一般人！私のパパは○○会社の社長なのよ！あんたみたいなやつが相手になるわけないでしょ！」
そう言って彼女は僕の肩を突き飛ばした。僕が肩を壁に打ち付けてしまって少し顔を歪めると、彼女はそれに気分を良くしたのか、上機嫌で笑った。
「きゃはは！あんたみたいな虫以下は、そうやって惨めに生きていけばいいのよ、私と違ってね！」
彼女はもう一度高らかに笑うと、佐賀美先生のところに戻るために僕に背を向けた。
彼女は、僕にはいない父親の力に頼って生きている。きっとそれを自分の力だと誤信してしまって、だからこそ今、彼女はああなってしまっているのだろう。
外見についても、匂いについても、他者への態度にしても、誰も注意してくれなかったに違いない。誰にも、愛されなかったに違いない。もしくは周囲の人が、愛し方を間違ってしまったのかも知れない。
「…貴女は？」
「はあ？」
再び彼女の目が見える。相変わらず濁っているそれが、今はとても哀れに見えた。
「貴女の父親の力じゃなくて、貴女自身の力を誇ろうとは思わないんですか？」
「…はあー？訳わかんないんですけど。これだから虫は人間の言葉を理解しないんだよねー、困っちゃう」
はあ、と深く息を吐いた彼女を真っ直ぐ見つめる。
「貴女は先ほど父親の権力を自慢しましたが、貴女自身には本当に自慢できるものは無いんですか？僕から見たら、貴女が先ほど自慢した外見はそれほどでもないように思えるんですが…」
どうやら彼女の中では僕が虫で確定しているらしかったので、ちょっとだけ直球に意見を言ったら、彼女の顔が見る見るうちに怒りで赤くなっていった。
「はあ！？まじうっざい！アンタは虫だから分かんないんでしょうけどぉ！」
「いやだって睫とか、多すぎて目の周り真っ黒にしか見えないです。まあ隈は隠せて良いかもしれませんね」
虫じゃない人ならその良さが分かるというのだろうか。もしそうなら、この世における虫じゃない人の数が限りなくゼロに近いと思う。
「何なのアンタ、平凡な顔つきの一般人のくせして！」
「あっ、僕は平凡なんですね。不細工とか言われなくて良かったあ」
「はあ！？」
だって、アイドルの傍にいるのに不細工だったら申し訳ないじゃないか。引き立て役になるくらいの平凡さなら良いが、目を背けたくなるくらいなら腹を切って詫びないといけない。
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月夜 黒輝(プロフ) - この後がどうなったのか気になる...！都合のいい時でいいので更新再開を希望します！ (2019年3月19日 18時) (
レス) id: 7066949ba0 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 更新停止中なのがすごく惜しいです是非作者様のペースで良いので新お待ちしてます！ (2018年10月3日 8時) (レス) id: 217b90edc7 (このIDを非表示/違反報告)
ケト。(プロフ) - 更新停止中なのが残念です……再開されるの楽しみにしてます、頑張ってください！ (2018年6月25日 9時) (レス) id: 522e4f0622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西 | 作成日時：2018年1月20日 0時
