20セーブ 『アイドル』とは ページ20
その少女の言葉には、流石の先生も閉口してしまった。クラス中が静まり返る中で、彼女は猶も口を動かす。
「そもそも、私みたいな可愛いくて綺麗な子には1年のようなガキじゃなくて、3年生のような格好良くてイケメンで、私をちやほやしてくれる人のほうが似合ってるの！」
どやあ、と渾身のどや顔を披露した彼女は、自身の持つ平均より大きな胸を精いっぱい張って、つらつらと言葉を続けた。
「UNDEADには女好きの羽風薫っていう人もいるんでしょー？彼なら私のことを大切にしてくれそうじゃない♪それに、朔間零っていう人の顔、私の好みだし。彼も男ばっかりの学院で私みたいに可愛い女の子がいたら、きっと私のことを好きになるわ！」
所詮、男子高校生なんだから。そう言って彼女はまた、きゃははは、と笑った。
(確かにこの学校のアイドル科は男子だけで構成されているし、その分女の子との触れ合いの時間も少ない。あの人が可愛いかどうかは置いておいても、零さんの好みに口を出す権利は、僕にはない)
だけど、彼女の次に続いた言葉に、僕の口が勝手に動いた。
「アイドルって言ったって、どうせ顔が良いだけでしょー？歌も踊りもテキトーにやってお金稼いでるんだから、そのお金を私に貢いでもらわないと♪」
「…っ違う！！」
突然聞こえた僕の声に、教室内は再び静まり返る。生徒も先生も、全員が僕を見る。全員の視線が、僕に刺さる。
「アンタなあにぃー？そう言うの、ウザいんだけど」
いかにも不機嫌です、という顔をした彼女が僕の方に歩み寄ってくる。
「…さっきの言葉、訂正してください」
「はあー？さっきの言葉ぁ？アタシ何か間違ったこと言った？」
バサバサの人工睫を揺らして、彼女がカツンとローファーの踵を鳴らす。僕を見下す彼女の瞳は泥水のように荒んでいて、零さんの美しい瞳とは似ても似つかない。
「確かにアイドルたちは、これ以上ないくらいイケメンです。ファンにとって、一般人にとって、魅力的な顔立ちと性格を併せ持った選ばれた人たちです。それでも彼らは、歌も、ダンスも、全力で取り組んでいます。その努力を、何も知らない貴女に否定される筋合いはない！」
彼女の濁った目を真っ直ぐに見つめる。彼女の中には、怒り、嫉妬、驕りといった負の感情が渦巻いている。
(やっぱりこの人は零さんに相応しくない。たとえどれだけお金を持っていたとしても、美人だとしても、こんな汚い人が零さんの傍にいて良いはずがない)
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月夜 黒輝(プロフ) - この後がどうなったのか気になる...！都合のいい時でいいので更新再開を希望します！ (2019年3月19日 18時) (
レス) id: 7066949ba0 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 更新停止中なのがすごく惜しいです是非作者様のペースで良いので新お待ちしてます！ (2018年10月3日 8時) (レス) id: 217b90edc7 (このIDを非表示/違反報告)
ケト。(プロフ) - 更新停止中なのが残念です……再開されるの楽しみにしてます、頑張ってください！ (2018年6月25日 9時) (レス) id: 522e4f0622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西 | 作成日時：2018年1月20日 0時
